2014 Fiscal Year Research-status Report
分流式下水道に流入する多環芳香族炭化水素類の雨天時路面堆積負荷の可能性
Project/Area Number |
25420557
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
尾崎 則篤 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50294541)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金田一 智規 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (10379901)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | PAHs / 分流式下水道 / 多環芳香族炭化水素類 / 雨天時 / 路面 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は分流式下水道の汚水管にPAHs(polycyclic aromatic hydrocarbons)の流入が相当程度あるかどうかを検討することである.対象としたのは郊外に立地する対象人口5万人程度の分流式下水道である.そのため本年度は昨年度の後半より開始した,分流式下水処理場を対象とする雨天時調査を継続した.それにより2回ほどの雨天時採水を実施し,雨天時に特徴的なプロファイルデータを得た.また,それと合わせて昨年度調査の詳細解析を開始し,詳細情報を導出した.それに加えて雨天時の水流入量調査を,処理場よりいただいた調査データに基づいて実施した.それにより雨天時における雨水流入が経年的に上昇している傾向であることを明らかにした.年間通算では汚水流入と比較して5%以下であるが,雨天時に限っていえば流入水量は汚水と同程度かそれ以上となることも明らかになった.これらのデータを雨天時調査とつきあわせて濃度だけでなく負荷量を算定することが可能な基本情報を得た.雨水流入と限らず,汚水(+雨水)の基本的な流入変動特性を今後包括的に実施していきたいと考えている.無降雨時調査も実施した.調査目的は雨天時の過剰流入と比較するべきベースとなる負荷量の算定である.異なる季節に二回の調査を実施して,その結果として,濃度に関しては日内変動が殆ど無いことを明らかにした.また一方日,が異なると倍程度の差が出ることも明らかにした.以上のことから雨天時調査のバックグラウンドとしての差分の計算方法を検討している.基本的には降雨が生じる直前に複数回の調査を実施し,その平均濃度が雨天時にも継続すると想定することが妥当であると考えられた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は継続調査の実施,負荷量の算定のベースラインとなる無降雨時負荷量調査を実施した. 無降雨時調査に関しては適切なベースライン負荷を得た. 降雨時調査に関しては必要な回数の調査を実施し,無降雨時調査の結果と合わせて詳細解析中である. 合わせて路面堆積物調査の結果まとめ,路面堆積負荷の特性を明らかにすることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
現在目下調査結果を取りまとめ中である.PAHsの分析はなお時間を要するが現在までの調査結果を取りまとめ,最終とりまとめまでの足がかりを得たい.それにもとづき,より効率的,限定的な雨天時調査を再設計し,次年度に最終実施を目指す. また調査や学会での議論等に基づいて,無降雨時の汚水流入について,特に家庭からの流入負荷量を明確化する必要性が高いことが明らかとなった.その対応を図っていくことも検討する.
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Causes of Carryover |
雨天時調査の効率化によるもの.また調査よりも,詳細解析作業を優先させている.詳細解析は実験室内作業,計算機使用,手作業が中心であるため,大きな費用の発生は生じない.主たる費用は次年度の調査にかかるものであり,そのため次年度使用が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は雨天時調査をより密にするためにの使用を計画している. 昨年度の調査と今年度の解析に基づき,どのような流入に伴う負荷量増加のプロファイルを描くのかがおおよそ明らかになった.それに基づき今年度は最終的によりピンポイントを得た調査を複数回実施する.およそ5回の5-50mm程度の降雨を採取することで,研究目的に対して明確化することができるのではないかという目途がたち,そのためその程度の回数,雨水状況の採水を実施することを目標とする. また調査や学会での議論等に基づいて,無降雨時の汚水流入について,特に,更に家庭からの流入負荷量を明確化する必要性が高いことが明らかとなった.そのため当該下水処理場とは別に,家庭からの排水が全てであることが明確である対象区域を見いだしそこにおいて家庭からの排出負荷原単位を明らかにし,そのバックグラウンドデータを充実させていくことを目指す.
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