濃縮導入式GC/MS-オルファクトメトリーによる環境臭気の評価と発生源探索

2014 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 25420558
• Research Institution: Yamaguchi University
• Principal Investigator: 樋口 隆哉 山口大学, 理工学研究科, 准教授 (40300628)
• Project Period (FY): 2013-04-01 – 2016-03-31
• Keywords: GC/MS / シリカモノリス濃縮抽出法 / 固相マイクロ抽出法 / スチレン

Outline of Annual Research Achievements

本研究では、濃縮導入した環境臭気をガスクロマトグラフ質量分析計（GC/MS）およびオルファクトメトリー（嗅覚を用いた測定）で同時分析することによって、環境臭気評価方法および発生源探索方法を確立することを目的としている。平成25年度は、キュリーポイントインジェクター（CPI）による加熱脱着法および固相マイクロ抽出法（SPME法）を用いて、環境臭気の濃縮導入方法の比較検討を行った。平成26年度は、新たな濃縮導入方法としてシリカモノリス濃縮抽出法（MMSE）を用い、最適な分析条件の探索を行うとともに、SPME法による環境臭気の分析を行った。MMSEは、ヘッドスペースガスを吸着捕集した後、溶媒抽出を行うものであり、操作が簡便で繰り返し分析が可能であるという特徴がある。MMSEの捕集剤としては、ODS基のみを有するものと、ODS基に加えて活性炭も含むものの2種類を用いた。操作に際しては、試料臭気を曝露させた捕集剤に溶媒を加え、超音波照射を5分間行って抽出した。溶媒としては、ジエチルエーテルとジクロロメタンの2種類を用いた。また、SPME法ではSPMEファイバーに試料臭気を30分間曝露させて濃縮した。濃縮後はそれぞれGC/MSによる分析を行った。MMSEにおける試料臭気としては、代表的な悪臭物質の一つであるスチレンを用いた。実験の結果、MMSEでは、捕集剤と溶媒の種々の組み合わせの中で、活性炭を含む捕集剤をジクロロメタンで抽出した場合に最も高感度で分析が可能であった。しかし、平成25年度のSPME法の結果との比較では、SPME法の方が感度の面で優れていることが分かった。一方、SPME法を用いて、スチレンが排出されていると考えられている事業所の風下側敷地境界付近で環境臭気を採取して分析した結果、スチレン濃度として0.02ppmという値が得られた。

Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

平成25年度に、平成26年度に予定していた現場臭気に対する濃縮方法の検証について一部前倒しで実施することができた。一方で、分析に使用していたGC/MSの制御用PCの不具合によって分析が一時中断し、代替機器の準備および分析の再開に時間を要した。このような理由によって、全体としては進行にやや遅れが生じた。

Strategy for Future Research Activity

平成27年度は、これまで検討してきたCPIによる加熱脱着法、SPME法、MMSEに加えて、金属キャピラリーチューブ濃縮法（SSCT）などによる環境臭気濃縮導入方法の総合的比較検討を行い、最適な濃縮導入法を決定する。その後、GC/MSににおい嗅ぎを組み合わせたGC/MS-O分析の一般的手順のマニュアル化を行う。そして、実際の現場臭気を対象として検証実験を行い、環境臭気に対する発生源の探索手法を確立する。また、これまでの検討を踏まえて、研究成果の全体取りまとめを行う。