2013 Fiscal Year Research-status Report
津波漂流物による建物の衝突崩壊解析技術の構築と避難ビルの設計支援
Project/Area Number |
25420567
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
磯部 大吾郎 筑波大学, システム情報系, 教授 (00262121)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 津波 / 漂流物 / 衝突解析 / 崩壊解析 / 有限要素法 / ASI-Gauss法 |
Research Abstract |
先の東日本大震災を受け,浮力と流体力,さらには漂流物による衝撃力を受ける可能性のある津波避難ビルの建築基準策定が進んでいる.その適正な基準を策定する上で,流体力の評価および津波漂流物との衝突に対するビルの強度評価をなるべく正確に実施する必要がある.そこで本申請課題では,粒子法に基づいた津波シミュレーションによる流体力の算出,および独自開発されたASI-Gauss法に基づいた崩壊解析による建物の対津波漂流物被害評価を実施し,津波避難ビルに必要とされる基本仕様を明確化することを目的とする.その第一段階として,今年度はまず,地震と津波ならびにそれに伴う漂流物の衝突の際に,一般的な鋼構造建築物がどのような挙動をするのか,また,それらのどの外力に対しても耐えられる構造の設計仕様はどのようなものになるのか,数値解析に基づいた検討を行った.6層3スパンの鋼構造モデルに東日本大震災の際の気仙沼波を入力して地震応答解析を行った後,構造モデルに浮力と流体力を加え,さらに船舶を模擬した漂流物モデルを衝突させ,構造モデルの挙動を調べた.さらに,漂流物が建物に衝突する前後の流体力と速度,建物の層間変形角の推移を調べた.その結果,建物に壁があり,浸水深が大きくかつ漂流物の喫水が大きい場合,抗力が建物1階柱の損傷に大きな影響を与えたことを確認した.また,浸水深が小さい場合,漂流物が建物の下層部に衝突し,1階の柱が損傷する可能性が高い.この場合は特に衝突力が局所的に作用する方が損傷に与える影響が顕著となる.さらに,抗力による影響は漂流物の衝突による影響より小さいことが分かった.最後に,津波の流速が大きい場合,建物1階柱の損傷に対して抗力の影響が大きいことが確認された.特に,漂流物の水面下投影面積が大きい場合,建物の被害が大きいことが分かった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
浮力・流体力のみの作用下での挙動解析の実施と崩壊解析技術のVerification(定性的評価)まで順調に進んでおり,粒子法による流体解析へのデータ変換作業も始まっている.そのため,ほぼ計画通りに進んでいると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
予算が少し減ったため,模擬崩壊実験の実施までは難しい可能性が出てきた.しかし,九州大の研究チームと流体解析に関する連携が始まったため,この方面の研究を充実させて遂行していきたい.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
残額が669円と少なく,予算の執行に困難が生じたため. 次年度予算と合わせ,物品などの購入に充てる予定である.
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Research Products
(4 results)