2013 Fiscal Year Research-status Report
地震動特性にパラメータ変動を考慮した耐震設計のための数値実験システム
Project/Area Number |
25420576
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
山川 誠 東京電機大学, 未来科学部, 准教授 (50378816)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大崎 純 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40176855)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 不確定性 / 動的解析 / 構造最適化 / 順序統計量 / ランダムサンプリング / 反最適化 / 地震動 |
Research Abstract |
平成25年度の研究実績として、パラメータ変動を伴う地震動に対する耐震設計を対象に、最適化/反最適化の枠組に基づいた数理的設計手法の開発、およびその理論的根拠を示した。本研究で対象とするような問題に対し、確定論的な意味での大域的最適解を探索すること、あるいは大域的最適解であるかどうかを判定することは、極めて困難であると知られている。一方、本研究から得られた成果では、設計条件の充足性を確率的な精度保証に緩めることにより、最適化/反最適化それぞれのプロセスで得られる設計解が所定の精度を持つことを、確率的に保証することが可能である。これら探索プロセスのふるまいを理論的に解析し、数値解析を通じた検証を行った。達成された研究実績はつぎの通りである。 1)反最適化手法に基づく地震時応答の確率的評価法の検討:パラメータ変動を伴う地震時応答に対し、予め決められた水準以上で確率的に設計条件が充たされるというように条件を緩めることにより問題を扱いやすくできることを示した。このことを利用して、サンプリング・順序統計量に基づく確率的方法から、時刻歴応答解析における地震時応答の不確定性を定量的に扱える方法を提案した。 2)設計問題の分析と性質を利用可能な手法の提案:梁と柱の降伏応力に不確定性を有する鋼構造骨組の地震応答に関する制約の下で、部材体積を最小化するロバスト設計問題を2段階の最適化/反最適化問題として定式化した。下位の反最適化問題を多点スタートの局所探索法に対して、未探索の局所最適解の存在確率を用いて停止条件を提案した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に立案した項目に沿って、確率的評価法・最適化手法の開発が進展している。地震動の不確定性モデルの検討・解析もこれらの手法と並行して行っており、全体を通して、おおむね順調に進展していると言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
H25年度研究実績の延長にある項目、および新たな検討項目として以下を予定している。 1)構造物パラメータ、および地震動特性パラメータのそれぞれに不確定性が含まれる場合の最悪応答のふるまいを、指定された精度で予測できることがわかった。ここで、ケース数を大きくとったときの統計量のふるまいは極値統計量の分野で研究されている。このような統計量の信頼区間の大きさを理論的に概算するため理論的検討を行う。 2)H25年度提案した局所探索の停止条件を、様々な最適化問題に適用して検討する。疑似焼きなまし法などのさまざまな最適化手法を対象として、最適なパラメータ値を確率的に求める手法を提案する。上記の手法を建築骨組の最適化問題に適用して、パラメータの不確定性を考慮した最適解の特性を検討する。 3)通常の設計で標準的に想定するレベルを超える地震動が発生した場合、通常の制振装置の設置だけでは十分な対策にはならず、下層部に変形が集中・累積する現象の危険性が指摘されている。対策の一つとして、建物を高さ方向に貫く弾性材と制振装置を併用する構造形式が考えられる。特定層への変形集中を緩和し、層崩壊メカニズムを防止するための構造システムの定量的スタディを行い、パラメータ変動を伴う高レベル地震動に有効な構造形式の検討を行う。 さらに、建築構造分野にとどまらない工学の諸分野への貢献を目指して、海外の研究機関とプロジェクトを連携し、構造最適化/反最適化における国際的な普及のための配慮を行う。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H25年度は大規模数値解析の前段階である理論的検討が主であり、既存の環境を有効利用することにより計画項目をおおむね実施することができた。そのため、計算用のPCワークステーション購入は数値解析が本格化するH26年度に移行とする。ただし、H25年度の研究遂行上、構造解析プログラムが別途必要であることが判明し、それを購入したため、当初予定よりも該当予算を縮小して実施する。既存の環境も利用した並列計算により、この影響は補うことができる見込みである。 理由で述べたように、計算用PCワークステーション購入を、数値解析が本格化するH26年度に実施するように計画変更をする。既存の環境も利用した並列計算により、この変更から直接的に生じる研究への影響はない見込みである。
|