2014 Fiscal Year Research-status Report
非構造壁が損傷したコンクリート系建築の被災度評価法の検証
Project/Area Number |
25420578
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
眞田 靖士 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80334358)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 非構造壁 / 二次壁 / 雑壁 / 鉄骨鉄筋コンクリート / SRC / 損傷 / 構造実験 / 東日本大震災 |
Outline of Annual Research Achievements |
東日本大震災により仙台市をはじめ都市部の集合住宅で,一般の構造設計では無視される非構造壁の被害が多発した.本研究の目的は,非構造壁の潜在的な耐震性能および損傷過程を要素実験により明らかにすること,実験より得られた知見に基づく構造解析を実施し,非構造壁が損傷した建物の復旧可否を合理的に判断する基礎資料を整備することである. 上記の目的を達成するため,平成25年度は1層1スパンの非構造壁を有する柱梁架構の縮尺1/2.5の試験体を対象に構造実験を実施し,非構造壁は①1%未満の部材角でせん断破壊し,耐力低下すること,②せん断破壊後の損傷状況より,非構造壁の使用限界状態は概ねせん断破壊する変形とみなせること,③ただし,非構造壁はせん断破壊するまで最大で架構の水平耐力の1/3程度を負担しており構造性能への寄与が無視できないこと,などの実験的な知見が得られた. 平成26年度は上記の実験結果とくに非構造壁の比較的大きな水平力負担を力学的に解釈するため,非構造壁の解析モデル化手法をパラメータとして実験結果を解析的に模擬することを試みた.採用した解析モデル化手法は①曲げと軸力の相互作用を考慮するが,せん断(劣化なし)を独立に評価するモデル,②曲げと軸力の相互作用を考慮するが,せん断(劣化あり)を独立に評価するモデル,③曲げと軸力とせん断の相互作用を考慮するモデルの3通りである.いずれのモデルも非構造壁の軸方向伸びを梁が拘束して,軸力,曲げ耐力が増大する挙動を評価できたが,モデル①はせん断破壊後の劣化を考慮していないため,耐力劣化挙動は模擬できないこと,一方,モデル②,③はせん断破壊後の耐力劣化挙動を模擬できること,モデル③はせん断破壊に伴う軸耐力の喪失現象も模擬できることを示した.従って,建物全体を対象とする解析ではモデル③が適切であることを明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は当初計画通り,平成25年度に実施した東日本大震災の被災建物を模擬する非構造壁を有する柱梁架構の構造実験結果を解析的に再現した.当初計画以上の進展として,複数の解析モデルに対して,解析モデルごとの非構造の挙動の再現性に対する限界を示すことができた.詳細な成果は研究実績の概要に報告の通りである.
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は,平成25年度に得られた非構造壁の実験挙動を高精度に再現した解析モデル(平成26年度の研究成果)を用いて,東日本大震災による実被災建物の構造解析を実施する.本構造解析では,とくに非構造壁が損傷した建物の復旧可否を合理的に判断するための知見を得ることを試みる.
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