2014 Fiscal Year Research-status Report
ソフトストーリーを有する鉄筋コンクリート造架構の地震応答制御に関する研究
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25420586
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
菅野 秀人 秋田県立大学, システム科学技術学部, 准教授 (20336449)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 鉄筋コンクリート造 / 地震応答制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は鉄筋コンクリート(RC)造ピロティ架構を対象として、地震時にソフトストーリーに変形がしやすいことを利用して損傷集中制御を図ることを目的とする。平成26年度は昨年度に実施した高層ピロティ架構のサブストラクチャ・オンライン実験結果に基づきエネルギー応答に着目した地震動応答推定法について検討を行い、推定精度の向上を目指した。また昨年度の実験ではせん断部材に特有のせん断降伏後の耐力低下が発現しなかったため、改めて試験体設計を見直して再度サブストラクチャ・オンライン実験を実施した結果、耐力低下が顕著な実験結果を得ることができた。せん断降伏による耐力低下が生じるRC造架構の地震応答性状について、特に本研究の制御の基本となるエネルギー応答に着目して実験データを分析している。 またセミアクティブ制御に関しては、ピロティ架構の地震時全体曲げ変形挙動に着目し、小規模の曲げせん断型振動模型に対して、曲げ方向に小型MRダンパーを設置して、振動台加振による地震応答制御実験を実施した。曲げせん断型振動模型は片持ち柱を基本に、柱頭の曲げ回転変形を、鉛直バネにより適度に拘束し、高層ピロティ架構特有の全体曲げ変形挙動を再現している。減衰力をリアルタイムで制御できるMRダンパーをその鉛直バネと並列に設置し、減衰力を適切に制御することによって特に最大加速度応答が抑制され、さらに地震継続時間全体の振動応答もパッシブ制御と比較して効率よく抑制できることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度に課題として積み残されたサブストラクチャ・オンライン実験による耐力低下のある鉄筋コンクリート造ピロティ架構の地震応答性状の確認、ならびに地震応答推定手法の検討を行うことができた。また当初の計画どおり、セミアクティブ制御則の検討についても、ピロティ架構の全体曲げ変形挙動に着目することにより、合理的な地震応答制御則の開発に着手することができたため、本研究はおおむね計画どおり進展しているものと判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はさらに効率的な地震応答制御則を目指して検討をすすめていく。特に緊急地震速報による入力地震動情報による建物応答予測を積極的に制御則に反映させた検討を行っていく予定である。検討は数値解析によるパラメトリックスタディを基本とするが、最終的には曲げせん断振動模型による振動台実験によって最終検証を実施する。研究計画最終年度にあたる平成27年度は、これまでに知見を蓄えたRC造ピロティ架構の地震時挙動に対して、全体曲げ変形に着目したセミアクティブ地震応答制御を適用し、RC造のような非線形挙動を示す制御対象に対して地震応答制御効果について検証を行う予定である。
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Causes of Carryover |
ピロティ架構の地震時挙動を模擬する試験体について検討を行った結果、本研究では全体曲げ崩壊形式に着目する方がより高い制御効果が得られることがわかったため、試験体の設計を再度見直すこととしたため次年度使用額が生じている。また、研究計画において最終検証を目的とした実験のための試験体製作であったため、研究期間最終年度に実験を実施する方がより高い成果が得られるものと判断している。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額となった試験体の設計見直しは完了しており、平成27年8月に実験が実施ができる準備がすでに整っている。また研究計画の遅れによる理由ではなく、翌年分は研究計画どおり執行する計画である。
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Research Products
(2 results)