2013 Fiscal Year Research-status Report
発生起源の異なる塩ビ廃材を用いた再生シートの製品化に関する研究
Project/Area Number |
25420591
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
小山 明男 明治大学, 理工学部, 教授 (90285099)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | リサイクル / 塩化ビニル / 床材 / 防水材 / 壁紙 |
Research Abstract |
平成25年度は,壁紙,床材および防水材を廃材とし,これらから得られる再生塩ビ粉体を単体または組み合わせて,再生塩ビシートの品質に及ぼす影響を把握することを目標に,ヴァージン材の混入率(0,30,60,100%)を実験因子とした試験体を作製して基礎物性および耐久性試験を実施した。基礎物性試験では,再生塩ビシートの引張り強さおよび伸び率を測定し,耐久性試験では,加熱,温冷繰り返しおよび水浸漬による促進劣化を行った後に基礎物性の測定を行った。また,各劣化促進試験では,基礎物性のほか,顕微鏡によって表面観察を行い,樹脂の劣化状況を把握した。 実験結果によれば,再生塩ビシートの原料となる廃材種類が基礎物性に及ぼす影響が確認され,JISで規定する性能との比較から,廃材種類ごとに適正なリサイクル率(廃材混入率)を明確にした。さらに,加熱(60℃および80℃)による促進劣化が再生塩ビシートの基礎物性に及ぼす影響を明らかにし,アレニウスの法則を用いて,耐熱劣化による寿命予測を試みた。温冷繰り返し(-20℃~+60℃)試験では,サイクルによる劣化の傾向を把握したが,加熱による影響は認められたが,冷却による影響は小さいことが判明した。また,水浸漬試験では,試験時の温度による影響が認められ,温度が高いものほど,基礎物性に与える影響が大きいことを確認した。 なお,発生起源を解体材とした場合の廃棄物について,防水材メーカーに協力を仰ぎ,入手方法や入手する廃材の種類について検討を行った。また,暴露試験については,試験体の設置方法などについて検討し,暴露試験体の製造までは行ったが,実際の暴露は次年度以降に行うこととした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
再生塩ビシートの基礎物性および耐久性に係わる実験については,科研費によって温冷繰り返し試験機を購入できたことなどによって,順調に実施できている。ただし,解体起源の廃棄物については,履歴の確かさを確保した上で入手する必要がある。これについては,業者の協力が不可欠であり,目処が立ってきているが,実廃棄物の入手には至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
廃材種類が再生塩ビシートに及ぼす影響の把握は,基礎物性から耐久性までデータが揃いつつある。今後は,他の促進劣化試験と暴露試験について,さらなるデータ蓄積に努める。また,解体由来の廃棄物については,協力業者が決まってきたので,随時廃材を入手し,再生樹脂粉体および再生樹脂シートの試験体を製造し,これらの影響について検討を行う。さらに,耐久性改善策である再生樹脂シートの製造方法についても目処が立っており,次年度以降は,再生樹脂シートとヴァージンシートの積層化による耐久性評価実験を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費の見積もりと支払額に若干の差が生じたため。 差は僅かな金額であるため,物品費として予算処理する予定である。
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