2014 Fiscal Year Research-status Report
メガソーラーおよび大規模屋上設置形太陽光発電システムの風荷重低減法の開発
Project/Area Number |
25420593
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Research Institution | Tokyo Polytechnic University |
Principal Investigator |
吉田 昭仁 東京工芸大学, 工学部, 准教授 (90329219)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 幸雄 東京工芸大学, 工学部, 客員教授 (70163699)
松井 正宏 東京工芸大学, 工学部, 教授 (60350576)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | メガソーラー / 太陽光発電システム / 風荷重 / 風力低減 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は以下の4テーマについて研究を実施した。 1. ソーラーアレイの風力特性の調査:メガソーラーなど複数のモジュールが設置される場合にはモジュール設置位置によっては,周囲の状況が異なるため,遮蔽効果による風力の低減が期待できる。現行のJISでは外周部と中央部の2種類の風力係数を与えているが,申請者らのこれまでの調査では外周部でも隅角部と周辺部の風力係数は異なることが明らかとなっている。そのため,本項目では種々のモジュール勾配,設置間隔,モジュール位置などでのソーラーアレイの風力特性を調査した。 2. ソーラーアレイの風力低減法の調査:前年度に実施したWind Shieldおよび空力的付属物のうち,低減効果が得られた方法について,ソーラーアレイにも適用を試みる。外周部のモジュールに設置した空力的付属物とWind Shieldとの複合効果についても風力実験により調査し,ソーラーアレイの風力低減効果について検討した。 3. 屋上設置PV用空力的付属物の開発:屋上設置形太陽光発電モジュールの風力低減に関する風洞実験を行うことを目的として実験装置等の基盤整備を行った。空力的付属物を設置した屋上設置形のモジュールの風力測定を行うためには,微小風力の測定が可能な動的天秤が必要となるため,歪みゲージ式3分力計(共和電業LSM-B-SA1)を購入して,微小風力の計測を行うための性能検証を行った。 4. 屋上設置形PV用コンバージョンファクターの検討:屋上設置形モジュールの風力係数は建物形状寸法やモジュール設置位置,設置角度等のパラメータにより複雑に変化してしまうためであり,一律な風力係数の定義は不可能であると言える。そこで,前年度実施した建築物屋根面の外圧係数の実験結果と同形状の建築物屋上に設置されたモジュールに作用する風力との関係性について調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度に実施予定であった研究項目は以下の4項目である。 1. ソーラーアレイの風力特性の調査 2. ソーラーアレイの風力低減法の調査 3. 屋上設置PV用空力的付属物の開発 4. 屋上設置形PV用コンバージョンファクターの検討 これらに対して,1,2に関しては研究計画通りに研究を実施しており,実績の概要に記載したとおりの研究成果を挙げている。3の空力的付属物の開発に関しては,微小風力が計測可能なロードセルの適切な容量の検討にかなり時間を要してしまったため,今年度はロードセルの精度検証の実施までとなった。4のコンバージョンファクターの検討に関しては,屋根面風圧とモジュール風力の関係性については検討を行ったが,適切な風力を算定するためのコンバージョンファクターの提案までには至っていない。これら全ての研究実施状況を鑑みるとおおむね順調に進展していると評価できると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる平成27年度には以下の項目について研究を実施するとともに,太陽光発電モジュールおよびソーラーアレイの風力低減法に関して取りまとめを行う。 1. 2. 地上設置型・屋上設置形太陽光発電システムの耐風設計法の検討 JIS C 8955ではモジュール設置勾配が15度以下の風力係数は定められておらず,15度の時の風力係数を用いることとしているが,明らかに風荷重を過大評価することになるため,平成26,27年度の研究成果を基にメガソーラーの合理的な耐風設計を可能とするような風力係数を整備する。また,ソーラーアレイの隅角部,外周部,中央部等のモジュール位置毎の風力係数の推定が可能となる,ソーラーアレイ用シールディングファクターの整備についても検討する。 3. 地上設置型・屋上設置形太陽光発電モジュールの風力低減法の確立 平成26年度に実施したWind Shield,空力的付属物によるメガソーラーの風力低減法および平成27年度に実施した屋上設置形モジュールの風力低減法を取り纏めて,種々の設置ケースに対応可能な風力低減法を確立する。 平成25年度から実施した全12テーマの研究項目を総括し,メガソーラーおよび屋上設置形大規模太陽光発電施設の合理的な耐風設計手法を提案する。また,太陽光発電モジュールに作用する風力を低減する方法を確立し,今後も急激に増加すると考えられる太陽光発電システムの合理的かつ経済的な耐風設計手法を提案する。
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Causes of Carryover |
平成26年度に作成予定として予算に計上してあったソーラーアレイ実験用風洞実験模型は現有している風洞実験模型を若干の手直しで流用することが可能であることが判明した。また,モジュール風力低減用模型については,微小風力用ロードセルの検討および精度検証に想定以上に時間がかかったため,実験計画および模型製作を平成27年度に行うこととした。これらの理由により消耗品費に当初計画との差異が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初計画では平成26年度に製作予定であったモジュール風力低減用模型を作製するための消耗品費として使用する。また,平成27年度の早い時期(5月から)から長期に渡り屋上設置型ソーラーアレイの風力低減およびコンバージョンファクター検討用の風圧実験を実施する計画としており,その実験補助および解析補助に対する謝金として使用する。
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