2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25420599
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
野田 博 近畿大学, 建築学部, 教授 (30602221)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 強風災害 / リスク評価 / 部材耐力 / 外装材 |
Research Abstract |
平成25年度の目標である「強風災害リスクの評価」は構築できた。これまでの災害リスクは,対象となる自然災害が地震であるため,台風や竜巻に対するリスク評価の確立は大変有用と考える。今回構築したリスク評価法は,アメリカで開発されたHAZUSで採用されている過去の被害実績に基づいた評価法ではなく,部材耐力と建設コストに基づいてリスク評価法が構築されている。そのため,個々の建物の災害に対するリスクを詳細に評価できる。そのため,複数の建物間での相対的なリスク評価が可能である。また建物全体のリスク評価だけではなく,建物の部位ごとにリスクが評価できるために,補修箇所の優先順位づけが可能となり,効率的な防災対策が可能となった。 今年度は,台風や竜巻に被災した際に大きな被害を生じる物流施設・生産施設,ならびに学校校舎を対象とした災害リスク評価法を確立したが,今後多くの建物用途に対応したリスク評価法を作成する予定である。 また,今年度は風による建物振動を予測するための効率的な数値流体計算手法も確立した。低層建物では台風や竜巻に遭遇した場合の被害は外装材のみとなるが,今年竣工した阿倍野ハルカスなどの超高層建物では強風による建物振動が大きな問題となる。従って超高層建物のリスクを評価する上では風による振動予測も重要である為,この研究課題にも着手し成果を上げた。 昨年度の成果は,日本建築学会ならびに日本風工学会風工学シンポジウムに投稿する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画段階で設定したH25年度に取り組む研究課題は以下のとおりである。 ①強風災害リスク評価法の確立 ②実測と数値流体計算による風速評価のばらつき評価 ①については,物流施設,公共施設と2つの建物用途ではあるが,評価方法が概ね確立できた。 ②については,研究代表者の所属する近畿大学で長期風向風速の観測システムを作成し,その研究体制を確立した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も計画通り研究を推進する。ただし,研究を進めるにつれて,計画段階で想定していなかった課題(高層建築物のリスク評価のための効率的な風揺れ評価)が見つかり,その課題について計画段階で想定した課題とともに取り組む予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H25年度に実施した風観測システムの構築は,計画当初は外部委託を予定していたが,実際には共同研究者である佐々木氏の所属会社(風工学研究所)が実施し,すなわち実質的に研究担当者自ら実施したため,その費用がなくなったため。 当初予定していた観測システムよりも高精度なシステムの開発,あるいは高精度の予測が可能な数値流体計算用計算機の費用として使用する予定である。
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