2013 Fiscal Year Research-status Report
建築土木構造物の外壁全面検査を可能にする背景反射低減赤外線サーモグラフィ法の確立
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25420603
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
Principal Investigator |
小笠原 永久 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工, システム工学群, 教授 (60262408)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 浩之 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工, システム工学群, 講師 (80582907)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 赤外線サーモグラフィ試験 / FT-IR / 分光放射率 / ハロゲンヒータ / キセノンヒータ |
Research Abstract |
本研究は,建築物外壁の表層部はく離欠陥検知における赤外線サーモグラフィ試験において,太陽光や背景構造物から受ける反射の影響を低減する方法の確立を目指すものである.本年度実施した主な内容は,1.フーリエ変換赤外分光光度計を利用した建材の分光放射率測定手法の確立,2.遠距離加熱用光源の設計・作製である. 1.FT-IRを利用した分光放射率測定手法の確立 研究室所有のFT-IR装置に,黒体炉と加熱装置を組み込み,検出系システムを反射型から放射型に変更した.熱伝導率が低い建材や塗料などは,試験片表面温度の測定誤差が大きくなり,分光放射率測定にも悪影響を与えた.そこで,熱電対を設置かつ黒体塗料を塗布した銅試験片を赤外線サーモグラフィ装置の温度校正に用い,試験片の表面温度を非接触に正確に測る手法を適用した.その結果,熱伝導率の悪い試験片の分光放射率を正確に測定できることとなった. 2.遠距離加熱用光源の設計・作製 遠距離から効率よい加熱を行うための放射型ヒータを作製した.光源は,キセノンランプ,ハロゲンランプ,炭酸ガスレーザーの3点である.それぞれ,近赤外域,近赤外域~遠赤外域,遠赤外域と,波長範囲が異なり,試験対象物の分光放射特性に合わせて,使い分けることが可能となる.特に,建材は近赤外域で放射率が低く,反射率が高い場合が多いので,ハロゲンランプおよび炭酸ガスレーザーを加熱用に,キセノンランプを反射低減システムの確認用に利用する予定である. ほかに試験対象物の放射率(反射率),背景構造物の位置情報,背景構造物の熱放射エネルギー情報を基に,熱画像から背景反射成分を低減する作業手順の概要構築を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した研究の目的に対し,ほぼ予定通りの試験を行うことができた.分光放射率の角度依存性の調査は,アタッチメントの作製のみで具体的な結果が出ていないが,今年度のはじめに実施する予定である.また次年度実施予定である実験の準備として,遠距離加熱用光源を作製できたため,今年度に以下に示す研究が行えれば,次年度の実験にスムーズに適用が可能となる。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度から引き続き,背景反射低減画像処理プログラムの構築を行う.さらに,対象物背景構造物を同時測定する測定システムの構築を検討する.具体的には,研究室所有の赤外線カメラと赤外線ミラーを利用した光学系で構成されたシステムで,観測者位置を原点として,試験対象物と背景構造物の位置情報と温度情報を同時計測する.その後,赤外線偏光フィルターによる反射成分の除去と赤外線帯域におけるフレネルの公式の有効性の確認を行う.物質界面の光の反射を記述するフレネルの公式を赤外線域に適用し,その有効性を探る.上記の知見をもとに,試験対象物の分光反射特性や大気の赤外線吸収帯域などを考慮し,偏光子の透過帯域を選択する.さらに,偏光子自身の透過特性と合わせて対応する偏光フィルターを設計・作製する. 建材の分光反射特性を考慮した検出波長帯域の選択するために,各種タイルや煉瓦などの建材分光反射率を測定する.また,試験対象物の分光反射率が低い帯域のバンドパスフィルターを放射計に設置し,反射の影響を受けにくい放射エネルギー量の測定方法の確立を検討する.さらに,平板・曲面板での反射の影響を考慮した簡易実験を行い,その後,屋外構造物への適用・効果を確認する.前年度までに構築した画像処理,背景同時測定システム,反射成分を除去する偏光フィルター,低反射帯域を対象とする放射計の効果を確認するために,幾何条件および温度条件が複雑でない平板と曲面板を対象に測定実験を行い,全体システムの確認と改善を行う.続いて,防衛大学校内の屋外建築構造物を対象に実用試験を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
購入を予定していたデータロガー制御用コンピュータの納品が今年度にずれ込んだため. データロガー制御用コンピュータおよび分光放射率測定の精度向上のためのパージ装置を購入予定である.
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[Presentation] 黒体塗料の分光放射特性評価2013
Author(s)
小笠原永久,山田俊輔,山田浩之,中村元
Organizer
日本非破壊検査協会平成25年度秋季講演大会
Place of Presentation
広島県広島市RCC文化センター
Year and Date
20131126-20131127