2013 Fiscal Year Research-status Report
デンマークとの比較による高齢者住宅の適正な居住水準に関する研究
Project/Area Number |
25420631
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
小川 正光 愛知教育大学, 教育学部, 名誉教授 (80126929)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 高齢者 / 住宅 / 居住水準 / デンマーク |
Research Abstract |
高齢者が居住する住宅の規模水準を検討するため、戸建て住宅を中心とした検討を行っている。住宅平面と家具配置を採取し、生活様式を分析・検討することを通じて、高齢の居住者が必要とする住戸規模を考察した。地域における高齢者の近隣関係を継続的に調査してきた半田市内の地区を対象として選定し、一人暮らしの高齢者が居住する20戸の戸建て住宅を対象として実態調査を行った。その結果、高齢者にとって必要な居住上の原則は、第1に、食事の場と就寝の場が分離されることであった。これらのそれぞれの機能が固定した居室を必要とする。第2に、友人や近隣居住者などの来訪者を通したり、読書や作業などを行う、くつろぎの居室である。この居室は、接客や書斎などの機能を含むことが可能である。第3に、独立した子どもが使用していたり、今までの生活で使っていたが現在は使わなくなった家具を収納する居室が1室必要であることが分かった。独立した家族が帰って来る可能性も考え、高齢者は多くの家具・生活用品を保管しないと不安で生活できない状況を明らかにしたことは本研究の独自性で、成果である。したがって、高齢者の戸建て住宅では、最低でも食事室、客室・書斎を兼ねた居間、就寝室、納戸の4室が設けられる規模が望まれることを理論的に実証した。 また、戸建ての規模と比較する目的で、施策的に供給されているサービス付き高齢者向け住宅について、愛知県内における住宅内容・運営実態のデータを収集し、分析を始めている。制度が定める最低限の住戸規模しか確保していない住宅計画が多く、食事の場と就寝の場が分離できない住戸規模と平面構成であるという実態が明らかにされた。 さらに、デンマークで年金受給者用に供給され、その後、高齢者住宅に改造された2団地について、予備的な計画と運営の調査を行い、実態の一端を把握した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の主要な調査対象であった戸建て住宅を抽出した地区は、今までも近隣付き合い関係の調査を継続して行い、信頼関係が形成されていたため、調査の依頼や実施がスムースに進められた。調査実施に関しても、学生のアルバイトによる協力を得ることができ、容易に進められた。 その結果、26年度に予定しているサービス付き高齢者向け住宅の愛知県におけるデータを収集し、概要を把握する分析や、デンマークにおける高齢者住宅の事例を調査することが可能になった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度には、予定通り、高齢者施策により供給されている集合住宅・サービス付き高齢者向け住宅のデータ収集と分析を中心に実施する。対象は、愛知県内に立地するものに限定しても約150団地あることから、分析の対象としては充分と考えられる。すでにデータは収集した部分もあるが、その作業を継続して行い、課題を明確にできる集計・分析とする。また、典型的な団地について平面図を収集し、住戸平面の構成・住棟計画についての分析を行い、現在行われている住宅規模や配置計画における原則を類型化したうえで、高齢者の生活様式と対応させることを通して問題点を抽出する。そして、今後求められる規模や配置計画の方向性についても考察し、提案への準備を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
「謝金」については、デンマークの状況に関するデンマーク語の文献を入手し、翻訳をデンマーク在住の日本人に依頼していたが、現在使われているデンマーク語にはない言い回しを多く含んでいるということで、翻訳が遅れ、完了が26年度になった。 「その他」の費目については、写真の焼き付け費を見込んでいたが、印画紙を購入してプリンターで印刷する方法に変更したため、当初予定より安価になったため、未使用額が生じた。 「謝金」については、26年度に、依頼した翻訳ができてきた段階で支払いを執行する。 「その他」の費目で予定していた写真の焼き付け費については、26年度において、一部を物品費に回し、印画紙やプリンタートナーを購入して自ら印刷するのに使用する。また、デンマークでの調査費用、翻訳や資料のデジタル化を行うための経費にも活用する。
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