2015 Fiscal Year Annual Research Report
デンマークとの比較による高齢者住宅の適正な居住水準に関する研究
Project/Area Number |
25420631
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
小川 正光 愛知教育大学, 教育学部, 名誉教授 (80126929)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 高齢者 / 住宅 / 居住水準 / デンマーク |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、高齢者の生活様式に合致した住宅の規模を確保した計画を行っているデンマークにおける「高齢者住宅」の住宅規模の状況と、そのような段階の規模を確保する根拠となる法的基準の検討を、コペンハーゲン市を中心に、現地における実態調査によりデータを収集し、分析・考察を行った。 コペンハーゲン市内に現存するすべての「高齢者住宅」団地の住宅平面計画資料を収集し、分析した結果、「高齢者住宅」全体では、住宅建設に対する公的な補助金を受けられる共用部分を含んだ住戸規模の上限が65㎡に設定されていることから、自立した生活を送る高齢者が居住する「一般型高齢者住宅」の場合、50数㎡前後の住戸規模が多く、広いLDKを確保した1LDKの平面となり、生活上の支援を必要とする高齢者が居住する「介護型高齢者住宅」の場合には、コモンの食堂などに面積を割くため、40㎡前後の住戸規模となり、平面ではL部分が縮小していることがみられた。また、「一般型高齢者住宅」の住戸平面は、生活様式により数タイプに分類されることが分かったが、「介護型高齢者住宅」の平面は、典型的な1タイプに収斂している状況がみられた。 住戸規模が小さい「介護型高齢者住宅」において住み方調査を実施した結果、各戸の生活が最も反映される居間の家具をはじめ、収納や寝室の家具、壁面の絵画や写真など、前住宅で使用していた物品を運び込むことができている状況がみられた。したがって、40㎡前後という住戸規模は、前住宅の生活を継続できる規模であり、居住者も前住宅を処分して転入することが可能になっていた。 デンマークの「介護型高齢者住宅」の住宅規模を、わが国の「サービス付き高齢者向け住宅」の規模の下限と比べると、倍以上の規模である。両国間でも、高齢者の生活内容は大きく異ならないため、わが国においても、生活に合致させて高齢者向け住宅規模を拡充させる必要性が示唆された。
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