2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25420637
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
鈴木 義弘 大分大学, 工学部, 准教授 (30244156)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 洋館付加住宅 / 近代住宅史 / 応接室 / 座敷 / 接客 / 文化住宅 |
Research Abstract |
<文献研究> 洋館付加住宅の成立のみにとどまらず和洋折衷に関する言説や実例建設の過程および社会文化的背景について、近代住宅・建築様式史、家政学、当時の住宅論や文学(小説・随筆)などの文献によって論点整理を行った。この中での主要な学説として挙げられるのが、洋館の付加(応接室の設置)によってここで来客を食い止めることで家族の日常生活空間が座敷・次の間などの南面化に大きく結びついていったという点である。仮説的にこの見解には強く疑義をもっているが、後述の「住まい方調査」によって、接客本位制は容易には崩れてはいかなかったことを少なからず裏付けつつある。 <目視・簡易アンケート調査> 25年度においては、北海道・東京都・京都府・兵庫県・山口県・福岡県・佐賀県において、142件の目視調査と28件の簡易アンケート調査により予備的調査にデータを加えた。順次、総合的な形態意匠上(付加された洋館の規模構造・屋根形状・屋根材・外部仕上げなど)の分析と地域的な特性把握の分析を行っているところである。 <図面採取・住まい方調査> 住宅図面採取の協力者は僅少であるが、25年度は5件の実施と4件の訪問調査アポイントメントをとった。これまでの分析でえられた利用実態と同様に、来客に対する酒食のもてなしについては、例外なく座敷・次の間で行われていること、家族の食事や団らんはこれとは別空間の茶の間で行われており、家族本位の住生活へは容易には移行していなかったことが確認されたが、さらにデータの補完により論拠をかためたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究助成の初年度である25年度において、文献研究による論点整理と解明すべき課題および実証すべき事項に関する理論の骨格構築はおおむね完了した。これを裏付けるためのデータ採取も、ほぼ順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の課題は、図面採取と住まい方調査件数の増強である。かかる協力が次第に困難度を増す状況にあるが、研究対象である洋館付加住宅建設の背景や居住実態およびその推移を記憶する居住者が希少となりつつあるので、研究主旨の重要性についての理解を強く求めて、協力要請を強化したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
消化不能の端数が生じたため。 次年度物品費と合算して使用する。
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