2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25420637
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
鈴木 義弘 大分大学, 工学部, 教授 (30244156)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 洋館付加住宅 / 近代住宅史 / 応接室 / 座敷 / 接客 / 文化住宅 |
Outline of Annual Research Achievements |
<文献研究> 洋館を付加(応接室の設置)することによって、ここで来客を食い止め、家族の日常生活空間が座敷・次の間などの南面化に大きく結びついていったという従来の学説に対して、申請者は仮説的にこの見解には強く疑義をもっているが、後述の「住まい方調査」によって、接客本位制は容易には崩れてはいかなかったことを裏付けつつあるところである。 <目視・簡易アンケート調査> 26年度においては、525戸の目視調査データを採取し(兵庫県:15戸、大阪府:178戸、愛知県:258戸、東京都:74戸)、アンケート調査は64件を新規にえた。引き続き、形態意匠上(付加された洋館の規模構造・屋根形状・屋根材・外部仕上げなど)の分析と地域的な特性把握の分析を行っているところである。26年度にえられた特筆事項として、長屋形式の洋館付加住宅が大阪府と愛知県(名古屋市)に数多く現存している点である。これまで限られた地域(福岡県北九州市、兵庫県神戸市)に一部認められたに過ぎなかった長屋形式は、両県あわせて52棟(123戸)にのぼった。おそらくは、戸建てとは異なり、賃貸住宅として供給されたものであると考えられ、このため居住者の入退居も頻繁なためにその形成の背景を明らかにすることはかなり困難ではあるが、新たな課題として加わったことになる。 <住まい方訪問調査> 住まい方調査は9戸に実施し(福岡県:3戸、兵庫県:5戸、愛知県:1戸)、翌年度調査として19戸のアポイントメントをとったところである。これまでの分析でえられた利用実態と同様に、来客に対する酒食のもてなしについては、例外なく座敷・次の間で行われていること、家族の食事や団らんはこれとは別空間の茶の間で行われており、家族本位の住生活へは容易には移行していなかったことが確認されたが、さらにデータの補完をおこなっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに、文献研究による論点整理と解明すべき課題および実証すべき事項に関する理論の骨格構築はおおむね完了し、上述した調査によっても、これを裏付けつつある。26年度までに、目視調査によるデータ採取は1,054棟(1,134戸)に達し、住まい方訪問調査も54戸に実施することができるなど、順調に進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
分析考察を行うなかで、主として形態意匠の特徴をとらえる上での項目を随時追加してきており、また、分類軸を精査して若干の見直しを行っているため、これまで蓄積しているデータの再編集を行っている。 これに27年度実施予定の新規目視調査(佐賀県、和歌山県、新潟県を予定)と、その際における訪問調査の協力依頼と、昨年度において訪問調査がアポイントメント済みの19戸を加えて住まい方調査データの補充を行い、最終年度における研究成果の集約を行う。
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Causes of Carryover |
消化不能の端数が生じたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度物品比と合算して使用する。
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