2013 Fiscal Year Research-status Report
子ども達を中心として,学校・家庭・地域で自然災害のリスクをいかに理解し共有するか
Project/Area Number |
25420638
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
小林 祐司 大分大学, 工学部, 准教授 (20305030)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 防災 / 減災 / 防災教育 / リスク認知 / ワークショップ / 学校 / 家庭 / モニタリング |
Research Abstract |
本年度は大きく,(1)自然災害のリスクを「時間軸-空間軸」の考え方から学校・家庭・地域で進める,(2)地域の防災性評価と地域課題の把握,(3)リスクと防災性能評価地区カルテの比較・特徴把握について実施している。 まず,(1)については大分県津久見市立保戸島小学校,臼杵市立臼杵小学校,大分市立日岡小学校それぞれで学校のニーズに対応した取り組みを実施した。保戸島小学校では,自然災害のリスクに関する学習や保護者や教員が参加するワークショップ(Home-DIG,School-DIG,Shima-DIG)を実施した。これにより,子ども達の生活する様々な時間帯におけるリスク認知と課題を浮き彫りにし,その対応策も検討することができた。さらに,同小学校ではワークショップ後の意識の変化を把握し,防災対策やその意識の継続性の難しさも再認識できた。今後もこのようないわゆる「モニタリング」は継続して実施することとしている。臼杵小学校では,クイズ形式やワークシートを活用し,児童と保護者が一緒に地域のリスクや生活時間の関係を相互理解する機会を提供した。これらの活動については,他地域でも継続して実施予定である。 次に(2)について,上記エリアのうち保戸島小学校区及び臼杵小学校区において,地域の危険箇所の点検などの現地調査を行い,防災性の評価を行った。特に保戸島においては地震津波を想定したMAS(マルチエージェントシミュレーション)を活用した避難行動のシミュレーションを行い,早期避難や地域コミュニティの重要性を指摘した。 そして(3)において,現地調査やシミュレーションの結果と(1)において把握した子ども達の危険箇所の認知の違いについて明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初設定した3項目【(1)自然災害のリスクを「時間軸-空間軸」の考え方から学校・家庭・地域で進める,(2)地域の防災性評価と地域課題の把握,(3)リスクと防災性能評価地区カルテの比較・特徴把握】を順調に達成できている。このような調査・研究活動は学校現場や地域との連携が不可欠であるが,この点については研究開始年度以前に構築してきていた教育委員会,学校,公民館組織などとの連携が活かされている。結果,想定していた数以上のワークショップも実施することができ,次年度以降につながる実績が積み上がっている。したがって,「(2)おおむね順調に進展している。」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
H25年度は,特にワークショップ形式で学校現場の防災教育を支援することと,その活動に保護者を巻き込んで展開することを中心に考えてきた。これは学校現場での防災教育や防災対策の持続性の重要性に鑑みたものである。この活動については,学校現場のニーズに対応して活動を支援していく必要がある。 今後は,H26年度以降の研究計画にある「児童と保護者に加えて,地域住民も巻き込んだ活動」を展開し,これまで把握できていなかった課題を抽出し,「地域の持続的な防災対策へ寄与できる方策」を検討しなければならない。そして,リスクを共有する上での課題や効果的な方法・活動内容を検討していくことが重要である。また,各種機関との連携も考慮せねばならない。特に,行政(危機管理部門・都市計画部門など),NPO,教育委員会などとの連携は不可欠であり,各主体のニーズも把握することで,本研究がよりよい活動の展開や効果を発揮することが求められる。これらの取り組みを地域に立脚した形で進めることで,最終年度の計画にもある災害文化コミュニティの形成や地域の活動拠点の形成などに結びつけていくことが可能になると考えている。
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Research Products
(9 results)