2014 Fiscal Year Research-status Report
リロケーションインパクトを乗り越えるのに有効な環境デザインの研究 災害後を視野に
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25420641
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Research Institution | Kanto Gakuin University |
Principal Investigator |
古賀 紀江 関東学院大学, 建築・環境学部, 教授 (10295454)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 ゆりか(今井ゆりか) 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (20251324)
狩野 徹 岩手県立大学, 社会福祉学部, 教授 (00204595)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | リロケーションインパクト / 災害時 / 仮設住宅 / 地域環境 / 健康 / 高齢者 / 活動量 / 人が集まる場所 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は災害を契機とした居住場所移動によるリロケーションインパクトをその只中にいる人自らの力で乗り越え、その後の生活環境を生み出すきっかけを得られるような可能性を持つ環境デザインに関する知見を得ることを目的とする。 本年は、次の二つの調査分析を行った。①昨年に引き続き災害リロケーションインパクトを乗り越えやすい環境の条件について調査、分析を進めた。いわき市内の異なる特徴を持つ地域(市街地、農村地域、住宅地)に建設された4つの仮設住宅において、居住者が誰かとコミュニケーションを取れる場所を団地内外にどの程度持っているか(「集まる場所」とした)を中心にヒアリング調査を実施した。高齢者の健康に仮設住宅団地の規模や集会所が一定の意味を持つことが示唆されるとともに、人が出会い集まる契機をもたらしやすい規模、レイアウトについての知見を得た。また、徒歩により様々な場所に出向ける立地場所は、外出頻度を高め、結果としてこのことが団地内での出会いと集まりの場を生む契機となる可能性が示唆された。②前年度調査の結果仮設住宅団地の高齢化率が高く、リロケーションに伴い住宅内での生活時間が長い様子がうかがわれた。そこで住宅内生活における健康の維持増進について、住宅内における運動量の見地からの考察を試みた。筋活動量(運動)に密接な関係のある「姿勢」に焦点をあて、調査分析を行った。まず、一般の住宅で暮らす高齢者に協力を得て、住まいでの日常的な姿勢種類と時間についてのアンケートを行った。結果からは明らかなジェンダー差が認められ、高齢期男性の住宅内姿勢が座位傾向にあること、また、住まいで暮らし続けられる程度の健康低下の状況においてその影響が男性ほど出やすいことが明らかになった。住宅デザインに対し、示唆的な結果を含む結果と捉え、次年度も調査を重ね考察を深める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
リロケーションインパクトを乗り越えやすい環境条件および要素の考察として、①住宅団地の物理的環境条件と②住宅団地のある地域環境それぞれに着目して調査、分析を行った。成果の一部を2014年度の日本建築学会オーガナイズドセッションで発表し、議論を深めた。 前年度調査結果から、高齢化率の高い仮設住宅団地の居住者の健康を保ち、増進する可能性を持つ環境デザインの必要性が示唆された。そこで高齢者の活動量に着目した研究を展開するに至った。実績に示すように、26年度は住宅内温生活姿勢と健康に焦点を当て調査分析を行い、一定の結果を得た。この結果は2015年度日本建築学会で発表予定である。 この他、リロケーションにおける新たな環境をどう捉えるか関して、既往調査の分析を深め国際学会(IAPS)で発表、各種意見を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度はまとめの年として、①ここまでで得た知見に基づきケーススタディを実施して論の補強をすること、また、②立地する地域環境と居住者の活動量及びその影響に関する調査の実施に力を入れる。 このほか、③前年度結果の建築学会のおける発表、④国際学会に参加しての意見交換により議論を深める予定である。 以上により、⑤これまでに得た資料の分析を進め、総合、考察を深め結論、報告を行う。
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Causes of Carryover |
研究分担者A:学務の都合で予定していた国際学会に参加できなかったため、未使用額ができた。 研究分担者B:準備した調査分析のための消耗品費を使用せず遂行できたためである。この額は次年度の資料整理に充てる計画とした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
未使用額は、研究分担者Aは、今年度の調査回数を増やし分析対象の拡充を図る予定である。研究分担者Bは既述のように、本年の調査分析経費とする。
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Research Products
(5 results)