2013 Fiscal Year Research-status Report
フランスで進む行政区画不問のプロジェクト都市計画と可塑的ガヴァナンスに関する研究
Project/Area Number |
25420642
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
鳥海 基樹 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 准教授 (20343395)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 首都圏整備計画 / グラン・パリ / パリ・メトロポール / ガバナンス / 環状鉄道 / 拠点開発 / サクレー平原 / セーヌ・ゲートウェイ |
Research Abstract |
我国では東京一極集中を批判の対象としがちだが、近年のグローバリゼーションの動向を勘案し、成長戦略拠点都市の事例として、フランスの『グラン・パリ』を研究した。その結果、以下の結論を得た: ①プロジェクト・合意形成先行方式へ:首都圏整備の進行方法にはプロジェクト先行、行政区画再編先行、合意形成先行の各方式があるが、今次の首都圏整備構想では行政区画再編は実施されず、主要プロジェクトとしての環状鉄道建設、拠点開発、或いは社会住宅整備等が立ち上がり、合意形成機関としてパリ・メトロポールが残る現実的アプローチに拠ることとなった。 ②「変容、適応、循環の都市計画」へ:国際諮問に於ける提案群は、「生産と拡張の都市計画の終焉」に対し、縮退やコンパクトの概念ではなく「変容、適応、循環の都市計画」を対置している。これは諮問内容だけではなく、クラスター方式のCDT、首都圏の概念を拡張したセーヌ・ゲートウェイ構想、さらには環境配慮型の公共交通整備といった実施内容にも言えよう。 ③プロジェクト都市計画へ:CDTはプロジェクト都市計画と称される。規制緩和型の都市計画ではあるが、民間開発を容易化する我国の特区と異なり、地方団体の意思が優位に反映される整備拠点と言え、規制ではなくプロジェクトを主軸として戦略的都市整備を推進する仕組みである。そもそもプロジェクトを先行させ、それに最適なガヴァナンスを探求するのは欧州では一般的になりつつある。固定的行政区画の枠組み内での規制型都市計画が時代遅れになり、プロジェクトを先発させ後発的にガヴァナンスや規則を考案する局面に入ったと認識されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
査読付き論文の掲載と日仏首都圏整備研究会の開催は、上記区分へのカテゴライズに充分な材料であると思料する。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、上記査読論文を発展させ、共著学術書に掲載することを目的としたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
フランス現地調査を充実させるため、既往研究の読み込みを優先させたため。 フランス現地調査の回数と滞在期間を延長してより研究を深化させる
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