2014 Fiscal Year Research-status Report
資産運用型「賃貸併用住宅」の市街地更新およびコミュ二ティへの影響と効果の分析
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25420647
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Research Institution | Otsuma Women's University |
Principal Investigator |
松本 暢子 大妻女子大学, 社会情報学部, 教授 (90183954)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大橋 寿美子 湘北短期大学, 生活プロデュース学科, 准教授 (40418984)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 賃貸併用住宅 / 家族居住 / 住宅市街地 / 居住継承 / 世代間継承 / 二世帯住宅 / コミュニティ形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成25年度において、建築後20年余を経た賃貸住宅オーナーへのアンケート調査およびヒアリングを実施し、継続的な居住状況を確認するとともに、家族居住状況の変化に応じた住空間の変容について分析した。 これに続く平成26年度は、住宅市街地における賃貸併用住宅の実態を把握することを目的として、以下の調査を実施した。(1)世田谷区奥沢および東玉川地区を対象として現地調査(2)対象地区内に建築されている事例へのアンケート調査(3)オーナーへのヒアリング調査 D社事例を対象としていた前年調査に対し、対象地区内のすべての賃貸併用住宅(127事例;目視による)の捕捉とともに、市街地環境への影響等を分析した。1997年に同地区での同様の調査を実施していることから、この間の新築事例や滅失事例(空き地化など)を含めた変容を分析した。 その結果、対象とした2地区とも増加傾向にあり、地区内の全住戸数の6~7%を占めていることが確認された。また、鉄道駅近くの容積率の高い敷地での新築が増加していた。敷地条件による住宅形態、平面計画等の違いがみられ、オーナー住戸と賃貸住戸の位置関係にも影響していた。アンケート調査でも、建築時に周辺環境への影響を考慮していることや、オーナー住宅と一体化しているからか建物管理が比較的良好なことも注目される。 さらに、本年2月には、D社における賃貸併用住宅(最近5年建築分)を対象としたアンケート調査を実施し、現在、集計分析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の目的としている賃貸併用住宅に関する調査(市街地更新への影響、居住継承の分析等)は、概ね、予定通りに進められており、調査結果の分析も着実に実施しているところである。 ただし、当初の予定どおりには実施できないことが確認できたこともある。たとえば、ヒアリング調査については、調査協力が得にくい(高齢のため)こともあり、事例数を増やすことは難しい。特に、地域のコミュニティ形成との関係について、当初想定していたよりもオーナー家族の高齢化等の理由で調査協力が得られていない。
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Strategy for Future Research Activity |
上記のとおり、概ね、予定された調査は順調に実施している。現在、D社事例の賃貸併用住宅に対するアンケート調査の集計分析を行いつつ、オーナーへのヒアリング調査に取り組んでいる。 また、市街地更新との関係について、今年度調査対象物件および昨年調査の対象地(世田谷区奥沢・東玉川地区)の事例の敷地条件の分析を行っている。周辺市街地への影響とともに、居住継承・住宅建替えの関係を整理することによって、住宅市街地の維持・更新のための課題を考察したい。
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Causes of Carryover |
調査対象者の多くが高齢者であったことから、調査協力が得にくかったため、ヒアリング調査の実施が想定よりも少なくなってしまった。そのため、調査時の謝礼および調査補助員の謝金、調査交通費(旅費)の支出が低くなっている。物品費については、当初、必要とされた機器およびアプリケーションソフトが見積もりと購入額に齟齬が生じたことによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は、当初予定の調査で得られなかったヒアリング調査の対象者を再度、見直し、事例数を増やすことを計画している。また、調査結果の分析作業等の人件費が最終年度であることから当初計画よりも必要となる。さらに、市街地の変容に関する現地調査および分析が十分には実施されていないので、今年度は実施する予定である。
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