2014 Fiscal Year Research-status Report
日本とスウェーデンの保育士の心身疲労から見た持続可能な保育環境の質の建築学的研究
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25420649
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Research Institution | Kokushikan University |
Principal Investigator |
田中 千歳 国士舘大学, 理工学部, 教授 (30346332)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | スウェーデン / 疲労 / 保育環境の質 / 子育て支援 / 比較研究 / 家庭的保育 / 持続可能 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、我国の少子化時代に対応した、人口減少化の動向に立ち向か得る、快適・安全・安心な保育環境の質に関する環境整備条件を導き出すことを目的とする。 本年度は、これまでの日瑞家庭的保育を中心とした保育環境の成立過程と、ソフト面の仕組みについて、ヒアリングを中心に実態把握を行った。 結果は、ソフト面については両国ともに子ども好きがひとつの契機となり、家庭的保育を中心とした保育環境の成立要因ともなっていた。また、特にスウェーデンでは、自宅で自身の子どもと過ごせることから家庭保育士として勤務していたり、あるいは就学前教育施設まで遠方であるため、近隣の家庭的保育を利用している、等がわかった。日本の場合は、待機児童の軽減を図るため、家庭的保育成立があるが、一般家庭で保育環境を成立させるには、自治体の自宅開放基準を満たすため、廊下も居室の一部として間仕切りを取り払い開放している自宅も多かった。日本の場合は自宅を開放するにあたり、ヒアリング対象者52人中、1人を除いた51人全員が工夫を実施していると回答した。工夫内容は、子供にとっての危険物を置かない、カーペット敷き、踏み台設置、段差解消、家具の角にクッション材設置等、安全面を最優先にしていることがわかった。このように、日本では 、比較的手狭な住宅環境のため、保育環境としての工夫整備が強く求められていた。一方、スウェーデンの場合は、住宅におけるたくさんの居室や余裕のあるスペースに加え、広い庭や遊具等、保育環境として最初から利用できる環境にあることが特徴である。また、家庭的保育であっても、地域の就学前教育施設とも連携が強く、相互の関係をより強化して保育指導することができる環境であった。今後は、保育士が個別に活動する場面を詳細に捉えたフォローアップ調査を行い、ハード・ソフト両面からの保育環境のあり方に関して、総合的に検討することが必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、効果的に研究を推進し成果を得ている。今後、保育士が個別に活動する場面やフォローアップ調査でも、協力体制と調査機材の強化を図り、万全の体制で飛躍的な研究展開ができるように計画している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、これまでの総合分析と両国の就学前保育環境や家庭保育環境及び調査対象者へのフォローアップ調査を行い、保育環境の質に関する整備条件と就学前教育施設のあり方について総合検討する。そのために、次の2課題を設定する。 設定課題(1) 保育環境に関する整備条件抽出(経費:デスクトップパソコン・ノートパソコン・デジタルカメラ) 設定課題(2) ハード・ソフト両面からの保育環境のあり方に関する総合検討(経費:デスクトップパソコン・ノートパソコン・デジタルカメラ・デジタルビデオ・ICレコーダー・生理学的データ計測機器)
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、今年度の就学前保育環境の現状とその特徴把握について、次年度では詳細に捉え直すフォロー調査を行い、本研究をより効果的に推進するために生じたものである。これは次年度の研究費用と合わせて、就学前保育環境のより詳細で綿密な実態把握を推進し、飛躍的に展開する研究遂行に使用する予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度生じた使用額は、国内外補強調査及び研究調査打合せと実態把握フォロー調査に計上している。これらは次年度の研究費用と合わせて、国内外研究調査(国内3回・国外2回)の旅費を計画している。実態フォロー調査については、現有実験機器を中心(広角デジタルカメラ及びデジタルビデオ等)に、実施する計画である。 また、次年度の使用計画では、研究補助として学生等による採取データの図面化・電子化補助及び資料整理、加えて、国内外各専門家による翻訳協力や研究資料の提供等を計上している。並びにデータ整理や保管等については、市販の物品や消耗品を適宜組み合わせて計上するとともに、図書では、最新の保育環境に関する建築学・環境デザイン学・社会福祉学等の充実を図る計画である。更に、研究動向調査や成果報告のための研究会やシンポジウム・学会等の参加費を計上している。合わせて、打合せ通信費及び研究成果論文の製本化を計上している。
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