2013 Fiscal Year Research-status Report
韓国自治センターにみる公共ストック空間の整備方法に関する研究
Project/Area Number |
25420654
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
廣田 直行 日本大学, 生産工学部, 教授 (00277394)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 施設転用 / 統廃合 / 財政負担 / 補助金 |
Research Abstract |
大韓民国において3年間(1999年~2002年)で1,783館の自治センターの8割が施設転用により整備されていることに着目し,その整備手順を求めると共に,転用に関わる法体系と施設機能の変遷を明らかとすることを目的としている。 大韓民国には,特別市,広域市,道という広域自治体の下に,自治区,市,郡と言った基礎自治体が置かれ,更にその下部組織として,洞・邑・面という行政単位がある。今年度は,釜山広域市に確認されている213館の自治センターについて,収集済のデータ集の設置状況を地図検索サイトにより確認し,施設状況に何らかの変更(住所・施設名称等)が考えられる36事例について2013年8月26日~8月28日の3日間にわたり,訪問による施設調査及び施設管理者に対するヒアリング調査を実施した。 通訳をお願いした金潤煥氏と広田が施設管理者に対してヒアリングを担当し,道都大学の安藤淳一教授と学部4年生の金兵祐太が実測による平面図の作成を担当。近畿大学の井原徹教授が写真及びビデオ撮影を担当した。この内,正確なデータが得られた28事例を分析対象とし,施設再整備の内容把握と再整備による施設機能の変化,施設再生の具体的手法を明らかとした。 釜山市の自治センターは,設置から10年を経過した頃から,財政負担の軽減のため,人口10,000人~15,000人を目安に近隣施設との統合が進められている。その結果,使わせなくなった施設は,就職支援センター,文化院,子どもの家,健康家庭市民センター,ニュータウン事業広報館,平成学習院,図書館などの多岐にわたる公共施設へ転用されていることが分かった。また行政からは統廃合に向けて住民の合意調整費として補助金が支給されていることが明らかとなった。その成果は,日本建築学会地域施設計画研究31(査読中)及び近畿大会に投稿した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの調査データの分析により,ソウル特別市近郊については追加調査をせずに概ね整理ができた。 そこで,今年度は調査対象地域を大韓民国の第二の都市として,釜山広域市の自治センターについて行った。現地調査を行う前に,ネットによる地図情報を活用することにより,施設の整備プロセスに何らかの変更が加えられたと考えられる事例を213事例から36事例に絞り込むことが出来,特定された事例について効率よく調査を進めることができた。 また,これまで度々国内で共同研究を進めてきた経験がある,近畿大学の井原徹教授,道都大学の安藤淳一教授と現地調査を分担して進められたことは,3日間で予定を終了できた大きな要因になったと考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は,対象を島部や過疎化が進む疎住地を対象に,都市部との整備手順の違いをみる。その際,今年度と同様に,予めネットの地図情報を活用し,調査対象事例を絞り込んだ上で現地調査を進めることとする。また,井原徹教授と安藤淳一教授に調査協力をお願いし,担当を明確にして効率よいデータの収集に努める。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ソウル近郊の追加調査を行わず,データ分析が行えたことが大きい。また,ネットによる地図情報の使ったことにより,調査日数が大きく短縮できた。 通訳として同行をお願いした金潤煥氏への謝金の他,次年度は調査協力者として,近畿大学の井原徹先生と道都大学の安藤淳一先生の旅費交通費及び,大学院生1名の旅費交通費に使用を考えている。 さらに,島に渡るため,調査日数の増加,交通費の増額が考えられる。通訳を含めて5人による現地調査を5日間で約30~40事例を予定している。
|