2013 Fiscal Year Research-status Report
明和大津波で被災した琉球諸島の集落復興プロセスから見る環境再構築に関する研究
Project/Area Number |
25420663
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Ariake National College of Technology |
Principal Investigator |
鎌田 誠史 有明工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (70512557)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浦山 隆一 富山国際大学, 現代社会学部, 教授 (10460338)
渋谷 鎮明 中部大学, 国際関係学部, 教授 (60252748)
仲間 勇栄 琉球大学, 農学部, 教授 (70142362)
齊木 崇人 神戸芸術工科大学, 芸術工学研究科(研究院), 教授 (90195967)
山元 貴継 中部大学, 人文学部, 准教授 (90387639)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 学際研究 / 集落研究 / 沖縄研究 / 津波被害調査 |
Research Abstract |
明和大津波(1771年)で被災した琉球諸島(八重山・宮古・奄美)の集落を対象に、「土地の記憶(場所)」、「歴史の記憶(史料)」、「かたちの記憶(空間)」に主眼を置き、被災による集落移動から再建にいたる一連のプロセスを空間的に復元して、復興における空間形成技術を考察した。 本年度は、明和大津波で被災し、再建した集落を含む発生時期の明らかな規則的宅地割(格子状)の集落を文献調査と航空写真等よりリストアップした。その中で沖縄本島と宮古島、久米島に形態的に特徴的な集落が多く確認されたため、今年度は沖縄本島と宮古島の集落を中心に調査を行った。 また、研究分担者と研究協力者とのの研究会(5月)との間報告会(12月)を開催し、研究計画と研究成果の共有化を図った。現在まで収集してきた史料をもとに、研究分担者・研究協力者とともに現在の地形図・空中写真と比較しながら調査対象地の選定を行った。6月、8月、2月には沖縄本島、宮古島の集落において現地調査・聞き取り調査を行うとともに伝統的集住環境の分析を行うための基礎資料の収集を行った。調査対象地の選定においては、かつて伝統的に維持・管理されてきた人工林「抱護(林)」または「屋敷林」を所有していた集落を中心に行った。加えて明和大津波で被災し再建を果たした宮古島の集落を今年度度の調査対象として設定した。 沖縄県立公文書館・図書館、各市町村への資料収集を行い、リストアップした集落における戦前の空中写真、一筆地調査図を新たに入手した。入手した資料はスキャニングを行いデジタル地図データとしてデータ化した。また、本年度の研究成果発表として、来年度に学際シンポジウムを開催することを決定し、調整を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた研究代表者や分担者が現在まで蓄積してきた集落の研究・調査資料をもとに、調査対象地の選定を行い、集落空間が持続し秩序づけられてきた空間の特性を比較・考察するため現地調査を実施している。また、調査対象地の戦前の米軍撮影空中写真と一筆地調査図を入手し、現在の地形図を重ね合わせて空間的な特徴の分析を行った。 加えて、研究分担者と研究協力者との研究会及び中間報告会を開催し、研究成果の共有化を図っている点も当初の予定に沿って行っている。 明和大津波で被災し、再建した集落を含む発生時期の明らかな規則的宅地割(格子状)の集落を文献調査と航空写真等よりリストアップした。その中で近世期に創建された沖縄本島と宮古島、久米島に形態的に特徴的な集落が多く確認されたため、予定していた八重山の集落調査を変更し、沖縄本島と宮古島の集落を中心に調査を行った。調査の結果、近世期に創建または津波で再建された集落には村を計画する際の計画論が存在する可能性を確認した。具体的には村抱護の存在と点在する御嶽と泉が村域を示しているという共通性を確認できた。この村域において格子状集落が形成され、居住域と生産域を配分する際の面積比率が存在するという仮説を提示した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は宮古エリアのより詳細な現地調査・文献調査を通じて研究を進めていく。年度初めには、昨年度の研究成果をもとに、研究方法の検証と本年度の研究計画、各調査項目(テーマ)について具体的な研究方針と方法を検討する。また、昨年度の研究成果をもとに、八重山エリアの被災情報の可視化と復興プロセスの空間的な復元作業を行う。文献調査は、前年度から継続して、研究関連の文献・資料を収集する。文献・資料の分析と前年度の研究成果を踏まえて、現地調査の対象地の選定を行う。 現地調査・聞き取り調査は、8月に宮古エリア(宮古島)において、調査を行う。現地での研究会を行い、各々の研究状況の報告や情報交換、調査すべき内容の整理を行う。また、10月には沖縄県立美術館・博物館にて学際シンポジウムを開催し、研究成果を地元地域に還元する。 12月には研究会を開催し、研究目的・方法の再確認を行い、調査が当初計画通りに進まない場合は適宜修正する。3月には年度末のまとめを行い、空間比較や調査成果の共有化を図る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初予定していた津波被害におけるフクギ巨木調査を次年度の経費とあわせて長期で行う必要性が発生したため。また、3月に予定していた研究報告会を次年度に繰り越したため。 石垣島にてフクギ巨木分布調査を実施し、津波被害の検討を行う。また、4月に昨年度の研究報告会を実施する。
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Research Products
(19 results)