2015 Fiscal Year Annual Research Report
明和大津波で被災した琉球諸島の集落復興プロセスから見る環境再構築に関する研究
Project/Area Number |
25420663
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Research Institution | Ariake National College of Technology |
Principal Investigator |
鎌田 誠史 有明工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (70512557)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浦山 隆一 富山国際大学, 現代社会学部, 教授 (10460338)
渋谷 鎮明 中部大学, 国際関係学部, 教授 (60252748)
仲間 勇栄 琉球大学, 農学部, 名誉教授 (70142362)
齊木 崇人 神戸芸術工科大学, 芸術工学研究科(研究院), 教授 (90195967)
山元 貴継 中部大学, 人文学部, 准教授 (90387639)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 明和大津波 / 景観復元 / 集落空間構成 / 地形的立地条件 / 空間形成技術 / 沖縄 / 琉球 / 近世村落 |
Outline of Annual Research Achievements |
明和大津波(1771年)によって甚大な被害を受けた琉球諸島(八重山・宮古・奄美)の集落や近世期に計画的に村立てされた集落を対象に、「土地の記憶(場所)」、「歴史の記憶(史料)」、「かたちの記憶(空間)」から被災による集落移動および再建にいたる一連のプロセスを空間的に復元して、復興における空間形成技術を考察した。 本年度は、過年度においてリストアップした明和大津波で被災し、再建した集落を含む発生時期の明らかな規則的宅地割(ゴバン型)の集落を戦前の米軍空中写真、一筆地調査図、現在の地形図を重ね合わせて景観復元図を作成した35村の集落を対象に地形的立地条件に応じた空間形成技術と空間構成を考察した。特に明和大津波で被災し、再建した集落では丘陵地に加えて大きく人工的な林帯が組み合わさって村落を囲むという特徴的な形態がみられた。周囲に丘陵や小丘が足りない場合には林帯で補うなど、地形的立地条件に対応させた空間形成技術によって村落を抱き囲む抱護として丘陵地や小丘を想定し、さらにそれらを補強するかのように人工的に木々が植えられた村落が多くみられた。またその内側を詳しく見ると、「舌」状の緩斜面上に形成される横一列型の街区をもつ居住域や、その周りに存在する(内)抱護、居住域の縁辺や村抱護に分布する村井戸や拝所の存在などが共通して見出されやすかった。このように集落の再建の際には、自然地形を巧みに読み、勾配に応じた土地利用をレイアウトし、村抱護などでその境界を示しながら、一帯の地形的立地条件に応じた集落を再建していたことを明らかにした。 研究期間全体を通じて実施した研究の成果については、「生き続ける琉球の村落」と題した学際シンポジウムを沖縄県立博物館・美術館において開催してその内容を出版するなど地元に還元している。また、韓国・済州大学校が所有している戦前の沖縄を捉えた新たな米軍空中写真を入手している。
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Research Products
(25 results)