2015 Fiscal Year Annual Research Report
国際比較からみた近代日本の鉄鋼業都市の盛衰に関する研究
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25420664
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
角 哲 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90455105)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 茂夫 島根大学, 総合理工学研究科(研究院), 准教授 (00396607)
中江 研 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40324933)
小山 雄資 鹿児島大学, 工学部, 准教授 (80529826)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 鉄鋼業都市 / USスチール社 / ピッツバーグ / カーネギー / ホームステッド製鉄所 / 再開発 / 産業遺産 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は、(1)米国鉄鋼都市でA.Carnegieが興したUS Steel社のあるPittsburghの調査、(2)New YorkのCooper Hewitt Smithsonian Design Museum所蔵のCarnegie関連資料の確認、(3)The London School of Economicsで前年に実施した英国鉄鋼業都市の補足調査を実施した。 特に(1)の成果が大きい。1934.2の日本製鐵発足後、新工場の開発を指揮した進来要が鉄鋼業都市の典型例とするのがPittsburghで、氏の在外研究期間(1914.2~15.1)の訪問先の一つと目される。当地では市内に本社、近郊のHomesteadに製鉄所(Carnegie Steel社時代操業)があり、工場を中心に発展した市街地や住宅地もある。今回はCarnegie LibraryのPittsburghとHomesteadの2館で工場や都市形成の関連資料を収集した。但し、社内の図面類の大半は収蔵庫移動の為に閲覧できず今後の課題となった。 工場はMonongahela川左岸にあり、当初、その一帯が市街化した。特に職員らの住宅は工場南西の緩やかな傾斜地にあり、運動クラブや音楽ホール付属のCarnegie Library Homesteadは、その中心的な福利施設であった。また、戦後、工場南の傾斜地(Munhall)に労働者住宅が建設された。航空写真や地図を用いた現地調査で多くの住宅の現存と施設配置を把握した。 世界の鉱工業都市と同様、1986年の工場稼働停止後に斜陽化が進んだが、河岸の旧生産施設を適宜残し、自転車道路の敷設やガイドマップの作成等、ソフト、ハード両面で産業遺産として整備されている。また、河岸沿いの集合住宅や大型店舗の誘致による旧居住区の再開発状況も確認した。PittsburghとHomesteadは、NYのCarnegie Hall同様、US Steel社の施設を現役の文化遺産として活用し、再開発した点で注目できる。
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