2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25420665
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
飛ケ谷 潤一郎 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30502744)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 南イタリア / ルネサンス / パラッツォのファサード / 開口部装飾 / 中世建築 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27 年度の科研費の成果としては、まず〔学会発表〕からみていくと、9月に東海大学で行われた日本建築学会の大会における下記の発表が挙げられる。この発表では、南イタリアのパラッツォとの関係を調べるにあたって、当時南イタリアを支配していたスペインはもとより、ヨーロッパ各国に知られていたセルリオの建築書『第四書』を例として取り上げ、おもにパラッツォの立面構成について論じた。 次に〔図書〕については、加藤磨珠枝編『教皇庁の美術』所収の「祝福のロッジアの形態の変遷について」を執筆した。教皇が祝福を与えるロッジアは、中世末期の教皇宮殿に登場してから、ルネサンス以降は大聖堂ファサードに設置され、巨大化していった理由として、古代ローマのコロッセウムなどの影響を明らかにしたものである。 同じく〔図書〕については、ヴァザーリ『美術家列伝』第4巻所収の「フラ・ジョコンド」、「バッチョ・ダーニョロ」そして「アントニオ・ダ・サンガッロ・イル・ジョーヴァネ」の翻訳と解題を担当した。これらの盛期ルネサンスの建築家のうちで、とりわけアントニオ・ダ・サンガッロ・イル・ジョーヴァネはローマのサン・ピエトロ大聖堂の建築家であったにもかかわらず、中世的な要素が見られる点に着目し、その理由はイタリア各地の軍事施設の点検や整備のかたわら、古代やルネサンス以外にもさまざまな名建築を見る機会が多かった点を指摘している。
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