2014 Fiscal Year Research-status Report
ランドスケープ概念を方法とする歴史的都市・町並みの評価及び保護手法の検証
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25420668
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
清水 重敦 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 准教授 (40321624)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 文化的景観 / 伝統的建造物群保存地区 / ランドスケープ / 生業 / 都市 / 町並み |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、まず、4月に開催された建築史学会大会において、シンポジウム「”町並み”か”景観”か-町並み・集落・都市・景観保存の現在と建築史学-」の企画・運営を行った。このシンポでは、これまで建築史分野では伝統的建造物群保存地区の調査及び保存活用に関わることが多かったが、新たに文化的景観という文化財範疇が登場したことにより、建築史だけでなく都市史や多分野との共同により、町並みを景観としてとらえることでまちづくりの可能性と建築史研究者の活動領域の拡大が期待されることが議論された。 基礎的情報収集・分析として、研究室所属の大学院生とともに「文化的景観ゼミ」を組織し、中国地方の伝建地区につき、既発行の伝統的建造物群保存対策調査報告書を収集、解読し、現地調査のための視点と方法の抽出に努めた。昨年度同様に、各報告書をランドスケープの観点から再読し、報告書の叙述の過不足につき検証した。 現地調査としては、中国地方の重要伝統的建造物群保存地区(伝建地区)のうち、大田市の大森銀山及び温泉津、倉吉市の打吹玉川の3地区につき、現地調査を実施した。3地区とも、自治体の伝建地区担当者に同行を依頼し、ディスカッションを行いながら地区全体を踏査した。地区の地形・地質・インフラ、地区の生業、都市と建物の関係、特にファサードに現れる特性、といった諸項目を調査した結果、伝建地区の再読の可能性を強く認識することができた。とりわけ、大森銀山における生業と建造物ファサードの関係、温泉津における敷地背後の凝灰岩傾斜地の利用、打吹玉川における生業と河川利用の関係につき、新たな知見を得ることができた。現在、昨年度までの成果を踏まえつつ、成果をまとめているところである。 次年度は、四国及び近畿地方の伝建地区の現地調査をおこない、最終年度として全体の取りまとめを行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に上げた基礎的情報収集、現地調査につき、概ね順調に進捗している。現地調査については、一次調査、二次調査の二段階に分けて実施することを計画していたが、準備段階での議論と現地調査の状況を踏まえて、すべての地区において時間をかけて調査を行うことにし、二次調査のみを実施することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に上げた調査研究を、初年度、二年度同様に推進する。 現地調査については、距離が近い地域が対象となるため、より多くの地域において実施する。
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Causes of Carryover |
現地調査3地区を1回の出張で実施したため、調査旅費の執行額が想定より少なくなったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
現地調査の実施回数を計画より多くするとともに、最終年度のため、図面作成補助、資料作成補助として謝金支出を多くする。
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