2015 Fiscal Year Annual Research Report
チベット系仏教及び上座部仏教の洞穴僧院に関する比較研究
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25420677
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Research Institution | Tottori University of Environmental Studies |
Principal Investigator |
浅川 滋男 公立鳥取環境大学, 環境学部, 教授 (90183730)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ブータン / チベット仏教 / 密教 / 瞑想 / 洞穴 / 懸造 / 崖寺 / 民話 |
Outline of Annual Research Achievements |
ブータンではチベット系仏教の崖寺が各地に造営されており、中心的礼拝施設ラカン(本堂)から離れた崖の洞穴に瞑想施設を営む。規模の小さい洞穴を利用し、その正面に懸造の掛屋を設けるだけの素朴な施設だが、密教修行の根幹をなす場として現在なお重要な意味を担っている。そもそもドゥック派が全土を制圧して国家形成がなされる17世紀以前、瞑想場に本堂ラカンは存在せず、ただ瞑想洞穴だけがあって、僧侶たちは長期間の瞑想修行に没頭していたとされる。現在でも、若手の僧侶は修学時に3年3ヶ月3日の瞑想を窟内で続けることが必須とされる。 こうした瞑想と瞑想洞窟の実態を理解するため、初年度は西ブータン、2年度は東ブータンと中央ブータン、3年度は中央ブータンと西ブータンで計15ヶ寺の調査をおこなった。昨年度(2015)の対象はダカルポ・ヨウト寺(パロ)、ケラ尼寺(パロ)、タンディネ寺(ティンプー)、レモチェン寺(タン)の4寺である。ブータンでは仏堂の内部の撮影等が原則禁止されているので、2014年までと同様、おもに崖寺境内の屋根伏配置図の測量をメインにおき、必要に応じて、内部の略測等もおこなった。2014年までと異なるのはヒアリング内容である。従来は崖寺の縁起等の聞き取りにとどまったが、昨年は瞑想体験を中心とする僧侶のライフヒストリーについての長時間の聞き書きをおこなった。 このほか、ソンツェンガンポ王による吐蕃建国時(7~8世紀)に造営したと伝承される中央ブータンのジャンバラカンで、本堂内陣中央柱から放射性炭素年代測定サンプルの採取に成功した。その成果は1632-1666 cal AD (信頼限界74.4%)である。吐蕃の年代ではなく、ドゥック派による国家形成期を示した点、大変興味深い。かりに瞑想場としての成立が吐蕃時代にまで遡るにしても、現在の本堂は国家としてのブータンが誕生して以後のものである可能性が高まった。
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Remarks |
「スケッチ・オブ・ゴンパ -第4次ブータン調査」連載はさらに(6)~(10)まで続く。いずれも公立鳥取環境大学保存修復スタジオのブログLABLOG 2G(http://asaxlablog.blog.fc2.com/)に掲載している。
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Research Products
(9 results)