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2016 Fiscal Year Research-status Report

欧米の工芸運動における日本建築の評価に関する研究

Research Project

Project/Area Number 25420678
Research InstitutionTokyo Denki University

Principal Investigator

横手 義洋  東京電機大学, 未来科学部, 准教授 (10345100)

Project Period (FY) 2013-04-01 – 2018-03-31
Keywordsジャポニズム
Outline of Annual Research Achievements

セイラムやボストンのあるマサチューセッツ州には、日本風家屋が数多く存在していた。たとえば、日本へ宣教師として赴いたアーサー・メイ・ナップの自邸。ナップは、フェノロサや岡倉天心と交友関係があり、日本文化への造詣も深かった。コレクションしていた日本製家具とのコーディネーションをとるために、ナップは日本風の自邸を望んだ。その外観はセイラムに建つ松木邸以上に立派なものである。松木邸がモースの民家趣味に感化されていたとすれば、ナップ邸はどちらかと言えば武家趣味であり、屋根の唐破風や玄関の装飾などを見ると豪壮な寺院の意匠を思わせる。
しかしながら、松木邸と同様、伝統的日本の屋根が二階建てのボリュームに使われると、どうしても不自然な印象を受ける。正面からは見えないように工夫はしているものの、屋根から煙突を排除することはできない。開口部も洋風である。だがナップは、どうしても洋風の佇まいを払拭しきれない母屋とは別に、数寄屋風の離れを平屋でつくり、多くの時をこちらで過ごしたという。離れはあきらかに茶室を意識しており、周囲に整備された日本風庭園と一体で、ナップの日本的情緒を満足させたのかもしれない。
ナップ邸の間取りは、中央の煙突を中心に諸室が構成される点で、松木邸同様、アメリカ住宅の伝統に則っている。
設計したのは、ボストンの建築家、ラルフ・アダムス・クラムだ。クラムの得意分野は教会建築で、中世ヨーロッパ、とくにゴシック様式で多くの作品を手がけた。この中世趣味と東洋趣味はうまく連動した。モースの講演に感化され、ナップの指示に従って、日本建築の再現を果敢に試みたのであった。すなわち、間接的な視覚情報だけを頼りに、アメリカ人のためのジャポニズム住宅は設計されたのであった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

海外建築調査、国内建築調査の成果が蓄積され、最終年度に向けてとりまとめに目処が立ってきたため。

Strategy for Future Research Activity

研究計画通り、着実に調査を進め、成果をとりまとめていきたい。

Causes of Carryover

実施した建築調査の回数が当初計画よりも少なかったことによる。研究の進捗については問題ない。

Expenditure Plan for Carryover Budget

最終年度の追加調査として使用予定。

URL: 

Published: 2018-01-16  

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