2013 Fiscal Year Research-status Report
コアシェル構造を有する高特性Sm-Fe-N/α-Feハイブリッド磁石の創出
Project/Area Number |
25420690
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
伊東 正浩 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90343243)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ハイブリッド磁石 / 収着 / Sm-Fe-N / コアシェル構造 |
Research Abstract |
本研究は高性能モータの実現に必須の永久磁石材料に関するものであり、資源バランス面から生産過剰なサマリウムを使用し、かつ、高温使用に適したSm2Fe17Nx(Sm-Fe-N)系磁石の高特性化を実施する。すなわち、希土類元素の中でも特異的に高いSmの蒸気圧を利用して、鉄粉表面にSm層を付与し、引き続き窒化処理することにより、磁性粉内部を磁化の大きなα-Fe、外部を保磁力の大きなSm-Fe-Nとするコアシェル型の高特性ハイブリッド磁性粉を創出する。 Sm-Fe-N磁性粉末において保磁力の向上には凹凸の少ない球状の形態が適すことが知られていることから、本年度では球状形態を有する平均粒径4マイクロメートルのカルボニル鉄粉を内部コアの出発物質として選択した。このカルボニル鉄粉とSm金属の切削粉とを石英管に入れ、油拡散ポンプで真空引きを行った後に封管し、800および950℃で6時間加熱することで収着反応を行った。得られた粉末のXRD測定の結果、目的相とするSm2Fe17の形成が認められた。950℃で収着反応を行ったサンプルでは、Sm2Fe17に加えて、ラーベス相であるSmFe2の生成も認められ、高温での反応はSmの急速、過剰な蒸発を促し、磁気特性の好ましくないSmFe2が生成に影響することが確認された。800℃で反応させたハイブリッド磁性粉の磁気特性を評価した結果、J-Hループにショルダーが認められ、磁性粉コアのα-FeとSm2Fe17との磁気相互作用が不完全であることが示唆された。α-FeとSm2Fe17との体積比の最適条件の探索、ならびに、残留磁束密度の値も低かったために、反応時の粒子の凝集を抑制する反応器の改造なども必要であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
真空条件下の加熱によりSmが蒸発し、これとFe粒子との反応により、目的物質であるSm2Fe17金属間化合物が得られることが確認された。真空装置として当初はターボ分子ポンプの使用を予定していたが、出発物質であるSm金属がゲッター作用を示すことにより、より取扱いの容易な油拡散ポンプにおいても同様の結果が得られることが分かった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実績の概要にも述べたが、軟磁性相と高磁性相の磁気的相互作用の改良を検討する必要がある。よりマイクロなレベルでの相互作用が好ましいことから、磁性粉粒径について1マイクロメートル以下の鉄粉の使用を検討する。さらに、収着反応時の粉末の凝集を抑制するために、反応温度の減少させることや、反応過程における粒子の撹拌など反応器についても改善を試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究を進めていく上で必要に応じて研究費を執行したため当初の見込み額と執行額は異なったが、研究計画に変更はなく、前年度の研究費も含め、当初予定通りの計画を進めていく。 研究代表者の退職により研究課題を廃止するため返還する
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