2013 Fiscal Year Research-status Report
延性二相合金における重層的な強化機構と高温変形律速機構の解明
Project/Area Number |
25420693
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
藤原 雅美 日本大学, 工学部, 教授 (40156930)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 構造・機能材料 / 複合材料・物性 / 物性実験 / 金属物性 / クリープ変形 / 延性二相合金 / 強化機構 / 高温変形律速機構 |
Research Abstract |
目的:LPSO相中のキンクバンド(KB)の有無が高温硬さとクリープ強度に及ぼす影響を調査するために,KB間隔の面密度(単位面積当たりの個数)を調整した試料を作製し,高温硬さ試験と押込みクリープ試験を行う.また荷重急変試験を実施し,クリープ中の転位運動に関する有効応力(外部応力と内部応力の差)の有無を判定する.実験結果を踏まえ,LPSO相中の転位運動とKBによる強化機構について検討する.実験方法:供試材はMg88-Zn5-Y7合金(LPSO単相)の押出丸棒材(押出比10,ラム速度2.5mm/s,温度723K)である.2mm×3mm×9mm直方体を切り出し,Arガス中で焼鈍(373K,21.6ks)した.電解研磨後,押出方向に対して垂直な3mm×9mm 面を室温圧延することによりKBを導入した.高温硬さ試験と押込みクリープ試験(一定荷重試験,一定押込み速度試験,荷重急減試験)が,マイクロインデンター(アルバック理工製)を用いて実施された.なお,荷重値は圧子下でKBが占める面積率が全体の平均値と同じになるように設定した.結果:(1)室温でキンクバンド(KB)を導入すると硬さが向上する.熱処理後もKBは元のまま存在するが,室温における硬さは低下する.(2)T≦423KではKBによる強化が認められるが,T≧523Kではクリープが顕著となり強度は低下する.(3)T≧573KではKBの有無に関わらず同じクリープ挙動をとる.(4)このときのクリープの応力指数は5.1,活性化エネルギーは314kJ/molである.(5)運動転位は底面内で拡張しており,高温になると二重交差すべりが頻繁に発生することが認められた.(6)高温クリープ変形中,転位運動における有効応力が存在することが明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
二相等ひずみ速度変形モデルに基づく理論構築とマイクロインデンターを用いた二相合金及び各単相合金の押込みクリープ実験は順調に進展しているが,計算機シミュレーションの一部が未完成である.今年度設備備品費で購入したWorkstationに汎用有限要素プログラムをセットアップすることに予定より時間を費やしたためである.この夏に海外共同研究者(Dr. Ming Dao, MIT)の支援を得て副プログラムを作成し,モデリングを一気に進めるように努力する所存である.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は,延性二相合金のクリープ特性評価法を確立すること,クリープ特性値が強化効率や変形速度によって変化する原因を解明するために,マルチスケールの視点に立って,理論,実験,計算機シミュレーションによって遂行していく.研究代表者はすべてを実施できる研究環境にいるが,計算機シミュレーションの水準を上げるために世界の第一線で活躍する海外共同研究者(Dr. Ming Dao, MIT)の助言を求める.
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Research Products
(13 results)