2014 Fiscal Year Research-status Report
フレームワーク構造を利用した等方性負の熱膨張物質への多様な伝導性の付与
Project/Area Number |
25420703
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
山村 泰久 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (80303337)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 負の熱膨張 / イオン伝導 / フレームワーク構造 / 酸化物 |
Outline of Annual Research Achievements |
材料の高度な熱膨張率制御を行うために重要な材料である「負の熱膨張材料」は,温度上昇と共に熱収縮をする.なかでもタングステン酸ジルコニウムは1000 Kに渡って等方的な熱収縮を示し,熱膨張制御材料の代表候補である.しかし,現時点では,このような化合物は負の熱膨張以外の特徴的な機能をあまり有していないために,工学的な応用範囲が制限されている.この現状が改善できれば,伝導材料間界面における熱膨張率の不整合の解消に役立つ負の熱膨張材料を開発することが出来る.本研究の目的は,このような負の熱膨張物質に電気伝導などの機能を付与した物質の開発と,その物性を明らかにすることである. 昨年度にひき続いて,フレームワーク構造を有する負の熱膨張物質に低価数の陽イオンを導入し,それによって生じる酸素欠陥を利用した酸素イオン伝導の機能を有する負の熱膨張物質の検討を行った.酸素欠陥の安定化および欠陥量制御に関して,合成した試料の評価を行い,かつ試料の合成条件の最適化を検討した. 合成した試料の物性の評価は,インピーダンス測定により行う.昨年試作したインピーダンス測定装置を用いて合成した試料の評価を行ったが,ノイズなどが原因で測定精度の面で装置に問題があることが新たに判明した.このため,新たにインピーダンス測定装置を設計し,装置の構築を行った.試験的に試料を測定した結果,ノイズが大幅に低減し,装置の性能を飛躍的に向上させることに成功した.この新しい装置をもちいることによって,これまで得られていなかった比較的高インピーダンスのデータを測定することが可能となり,興味深いデータが得られ始めている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
測定試料の合成は進んでいるが,試料に少しばらつきが見られるため時間がかかっている.インピーダンス測定装置の改良に手間取ったため,試料の測定は少し遅れているが,装置の性能の向上を図ることができたことから遅れは取り戻せると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度も研究計画書通りに研究を進める.負の熱膨張物質の組成や置換イオン種を変化させた固溶体試料を合成する.それらの試料の物性測定を行い,得られた知見を試料合成にフィードバックさせる.組成,置換イオン種などのパラメータに基づき測定結果を整理して,試料の機能性の最適化をはかるための指針を検討し,研究を総括する.
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