2014 Fiscal Year Research-status Report
ナノメートル厚さのAl2O3薄膜の弾性率の直接測定
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25420704
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
香川 豊 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (50152591)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ナノチューブ / 弾性率 / ナノ厚さ / 片持ち梁 / 測定 / 多結晶Al2O3 |
Outline of Annual Research Achievements |
ナノメートルオーダーから数10ナノメートルオーダーの弾性率を測定することができるチューブ状の試験片を作製することに成功した。ALD (Atomic Layer Deposition)法を利用して、表面の平滑性が極めて良い炭素繊維表面にAl2O3を数十ナノメートル蒸着した。蒸着厚さは10nm~200nm程度とした。蒸着した炭素繊維を大気中で高温加熱することにより炭素繊維を酸化除去し、Al2O3のチューブを作製した。 得られたチューブの内径は4~5μmであり、Al2O3層の厚さは10~150nmであった。また、チューブの長さは1mm~20mm程度であり、製造条件により制御することができた。このチューブの結晶組成の透過形電子顕微鏡による観察、XPSのよる結晶組成の同定などを行った。同時に、チューブ表面の状態を原子間力顕微鏡による観察した。 これらの結果より、片持ち梁を利用してチューブの弾性率を求めることが可能になるものと考えられる。一部の材料では弾性率の測定を行い、データを整理解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Al2O3ナノチューブ試験片の作製が順調に行えるようになり、研究は当初の計画以上に進展している。一方、弾性率の測定結果を公表するためには、数多くの試験結果に基づく確認が必要であり、当初の計画よりも多くの測定が必要であると考えられた点によりおおむね順調に進展しているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度に向けて、実験で得られた結果をバルク状のAl2O3の弾性率と比較検討することにより、厚さがナノメートル~数10ナノメートル領域になった場合のバルクからの変化を考察する。論文等で報告されている解析や実験結果も参考にしつつ、弾性率の厚さ依存性を明らかにする
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Causes of Carryover |
出張旅費が当初の計画よりも少額で済んだ。また、測定方法を工夫することにより、外部への依頼評価解析による資金の必要がなくなり、研究経費が節約できた。これらの変更により研究計画自体に支障が生じないので、最終年度である次年度により充実した研究を行うことを計画した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
データ解析の精度を向上させるために、片持ち梁装置の数値結果を高速で処理できる計測系を充実させる。このための、データ処理装置とデータ解析用謝金に用いる予定である。また、データの蓄積が進み当初の目的である弾性率の厚さ依存性に関する見解が得られる見通しのため、国内外の学会発表に用いることを予定している。
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