2015 Fiscal Year Research-status Report
セラミックス積層材の焼結過程での発生応力評価モデルの構築
Project/Area Number |
25420706
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
安田 公一 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (20191306)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 諭 長岡技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20324006)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | セラミックス / 積層材 / 焼結 / 成形体 / 均質性 / 欠陥 / 顆粒の崩壊 / 確率論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,代表的なセラミックスに対して,成形体から半焼成体を経て焼結体に至るまでの機械的性質,熱膨張係数,焼結ひずみの変化を測定して,これらの材料で構成されるセラミックス積層材中に焼結過程で発生する応力を定量的に評価するための応力評価モデルの構築を行うことを目的とする.また,これに合わせて,高温下での仮焼体の応力/ひずみ関係を調べ,焼結過程における粒子構造変化と構成方程式の関係を議論することも行う.これらの検討により,積層材の最適設計構造設計の基礎的な考え方を確立することとしている.理論解析については,既に,最初の2年間で,一般的なモデルが構築できており,当初の予定では,後半の2年間では,仮焼体の構成方程式に研究を進めるつもりであった.しかし,昨年度の研究により,成形体の均質性が,発生応力そのものと同様に,焼結過程での亀裂発生に大きな影響を与えることが推測されたので,平成27年度には,この成形体の均質性について,理論と実験の両面から集中的に検討することにした. 具体的には,研究代表者は,ヤング率が半径方向で変化する球状成形体に対して(通常の材料力学では,ヤング率が一定の場合が解かれている),外部から等方圧を負荷したときに成形体内に発生する応力分布を求めるための新たな微分方程式を理論的に導出し,また,それを数値計算で解くことにより,加圧成形時の成形体に発生する不均質な応力分布を求めた.さらに,その応力分布に破壊位置の確率論を適用して,顆粒の崩壊確率の半径方向依存性を計算する手法を開発した.また,研究分担者は,アルミナ単層材の欠陥生成の様子を,仮焼温度を変えながら逐次観察して,顆粒の変形,粒子の移動,気孔の集積の観点から,実験的に欠陥生成を検討し,むしろ,焼結の後半では,巨大気孔が成長するとことを明らかにした
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度には,研究の全期間で構築予定であった積層材の焼結中における内部応力評価モデルについて,弾性体だけでなく,弾塑性体,粘性体,粘弾性体に構成方程式を拡張することができ,また,3層積層材からn層積層材や連続分布の場合にも一般化することができた.そういう意味では,本研究の当初の目的は,この時点でほぼ達成されたことになる.そして,平成26年度は,これらの理論解析の結果を国内外の会議で発表することを重点的に行ってきた.また,実験的検証については,国内外の発表に時間を取られたため,当初,予定していた実験は十分にできなかったが,アルミナセラミックス中の亀裂生成を超音波探傷で検出することと,窒化ケイ素単層材の1700度までの熱膨張係数を検討することは実施できて,それらの結果も国内外の会議で発表した.また,分担者による研究では,単層材焼結中の欠陥生成は,成形時の顆粒の崩壊過程に影響されるので,成形体の均質性をキチンと評価してから,単層材の特性評価や高温での構成方程式を検討する必要性があることがわかった.これらの結果を受けて,さらに,平成27年度には,焼結過程での発生応力と同様に,亀裂生成に重大な影響を与える成形体の均質性に,研究代表者と研究分担者で集中して検討し,理論と実験の両面で,新たな知見を得ることができた. このように,本研究の当初の目的であるモデルの構築は,すでに達成されており,仮焼体の構成方程式についての実験については,まだ,十分行っていないが,その前に,成形体の均質性の評価が必要になったので,実験の計画を一部修正して検討を進めているところである.ただし,特に,研究分担者が平成27年度行った実験は,見方を変えると,仮焼体の構造変化を検討しているものであるので,そういう意味では,当初の計画については,大体,着手していると考えることもできる.
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度には,積層材の応力評価モデルの学会誌への投稿を予定していたが.実際には,研究代表者も,成形体の均質性についての理論解析(成形体中の顆粒崩壊の確率論)を,急遽,検討することとしたので,論文投稿は次年度の課題とすることにした(既に,部分的には,論文化はなされていることもあるので).また,来年度は,本研究課題の最終年度なので,これまでの研究を総括すると共に,さらに,積層材を含めたセラミックス材料の欠陥生成や応力問題を展開するための議論を,研究代表者と研究分担者で行って,次の研究課題に結びつけていければと考えている.
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Causes of Carryover |
研究計画変更のため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究うち合わせの出張に用いる
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Research Products
(20 results)