2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25420719
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
野村 良紀 大阪工業大学, 工学部, 教授 (00156233)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ジチオカー^バマート錯体 / アミノ酸残基 / 異核多孔姓錯体 / 固体表面 / 共結晶形成 / 分子間水素結合 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成25年度に続き,複数の金属種からなる異核多孔性金属錯体の合成およびそれらの結晶成長実現を目指し次に示す検討を行った。なお,以下に記載のジチオカーバマート錯体はいずれもαアミノ酸のN末端をジチオカーバマートとしたものでこちら側で金属に配位しC末端は遊離の状態となっている。検討に用いたαアミノ酸は,グリシン,およびアラニン,βアラニン,ロイシン,イソロイシン,グルタミン酸,アスパラギン酸である。また,これらの錯体自体は,カルボキシル基間の相補的水素結合形成により1次元集積体を与える。 末端にカルボキシル基をもつニッケルおよび亜鉛ジチオカーバマート錯体と種々の金属イオンとの溶液中での反応をUv-Visスペクトルを用いて観察し,マンガン,ジルコニウムイオンとの間で両者の溶液混合直後ただちに縮合反応が進行することを認めた。この結果を受け,反応系から結晶成長が可能な反応条件の最適化を進める中でいずれの系においても結晶性固体の生成を確認している。 また,無機固体基板と当該錯体間の相互作用を基点とする配位高分子結晶成長に向けた準備として,錯体中のカルボキシル基と水素結合形成可能な種々の有機化合物との共結晶形成について検討を加えた。その結果,1,4-ビピリジンなどがジチオカーバマート配位子との配位子交換ではなく,優先的に末端カルボキシル基と相互作用することを見いだした。また,特異な例としてフェロセンジカルボン酸との共結晶形成を認めることができた。これらの知見は固体基板上での結晶成長の可能性を高めるものと認識している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
26年度の目標は,アミノ酸残基から誘導したジチオカーバマート配位子が架橋配位子として作用する適応範囲の拡大である。この際の克服すべき課題は,ジチオカーバマート錯体自体の不均化に伴う単独重合を抑制し,選択的なC末端と金属イオンとの反応による共重合の進行である。また,生成した共重合体が結晶として析出する条件探索も重要な点である。種々検討の結果,Ni-Zn, Ni-Mn,Ni-Zr,あるいはZn-Mn,Zn-Niなどの系に応用できることを見いだした。 さらに,固体表面との相互作用モデルとして各種アミン,カルボン酸,アルコールなどを用いて溶液中での相互作用を検討した。これらの中でアミン類との反応では配位子交換ではなく末端カルボキシル基との相互作用が優先することを見いだした。また,カルボン酸との間で共結晶化の可能性を明らかにしている。これらの知見は固体表面からの配位高分子結晶成長に直接つながる成果である。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度の検討では,アミノ酸残基から誘導したジチオカーバマート配位子が架橋配位子として作用する適応範囲の拡大に引き続きつとめる。標的とするのは3価あるいは4価の金属イオンであり,高次の配位高分子ネットワークを目指す。したがって,特に高酸化状態の金属イオンに対する検討を重点的に行う予定である。 また,種々の固体表面での結晶成長についての検討についても同時に進める予定である。ここで用いる固体基板としては,貴金属,重金属,セラミックス,半導体および有機高分子であり,それらの表面そのもの,あるいは官能基化したものを用いて検討する。
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Causes of Carryover |
無機固体表面からの配位高分子結晶成長に関する検討に際し,溶液中でのジアミンやジカルボン酸などとの相互作用の確認を優先して行ったため,固体表面との相互作用などに関する観察および結晶成長についての検討を次年度行うこととした。その結果,無機固体基板購入を今年度は行わなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
これらの予算については主に無機固体(シリコンウエハーや化合物半導体,種々のセラミクス)購入および表面処理用試薬の調達にあてる予定である。
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Research Products
(4 results)