2013 Fiscal Year Research-status Report
多様な量子ビームその場観察技術を用いた新規アルミニウム合金水素化物の探索
Project/Area Number |
25420725
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
齋藤 寛之 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 量子ビーム応用研究センター, 研究副主幹 (20373243)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 高温高圧 / アルミニウム合金水素化物 / 中性子線回折その場観察 / 放射光その場観察 |
Research Abstract |
研究計画に従い、平成25年度はAl3X(X; 4, 5族元素)系合金の水素化反応の探索と、中性子線回折(ND)測定用高温高圧セルの開発を行った。 Al3Zr合金を9 GPaまで加圧した後、水素流体中で加熱し、昇温過程を放射光その場観察した。607℃で熱膨張とは異なる格子の膨張が観察され、水素化反応が進行することが明らかになった。格子の膨張率は1.3%であったが、これは過去にAl3Tiで観察された値(1.6%)と同程度であった。Al3NbおよびAl3Vの試料調整も完了しており、同様の水素化反応の探索を進め、格子膨張量や水素化温度圧力の関係を明らかにする。 放射光その場観察用の高温高圧セルのデザインをもとにして、中性子線回折(ND)測定用高温高圧セルの開発を行った。開発のポイントは、中性子実験用に大容量の試料を加圧および加熱できるようにすること、および中性子を透過する材料をセル構成材料として用いることである。試料サイズΦ2.0-1.9mmhで8 GPa, 1000℃、および試料サイズΦ3.0-2.5mmhで6 GPa, 1000℃を発生し、その中で金属の水素化反応を実現できるセルを開発することに成功した。これらのセルを使った中性子その場観察実験を既に行い、金属の水素化反応を観察することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実績の概要で説明した通り、研究計画で定めた初年度の目標は既に達成し、Al3X合金の水素化反応の実現、および中性子その場観察実験用のセル開発が完了している。またその他の系として、Al2Cuの新規水素化反応の発見や、他のアルミニウム合金の新規水素化反応の実現にも成功しており、本研究課題全体としても、順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
Al-RE(RE; 希土類金属)およびAl-TM(TM; 遷移金属)合金系の水素化反応の探索を行う。 Al-RE系ではアルミニウムに数at.%以下の希土類を固溶させた合金の水素化によりAlH3のAlを一部希土類金属で置換したAl1-xRExH3の実現をめざす。置換によりAlH3の安定温度圧力領域を制御できる可能性を調べることが主目的である。また希土類金属は実験を行うBL14B1の入射X線の強度のエネルギー依存性、および高圧セルのX線透過能を考慮した場合、XANES測定に最も適していると考えられる。このためAl-RE軽合金水素化物が実現した場合には、速やかに水素化反応過程のXANES測定を行う。 Al-TM系は前倒しですでに一部水素化反応の探索が進んでいるが、引き続き探索を進める。短時間(分オーダー)で反応が完了する系については、秒オーダーでの時分割測定を試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成26年度の直接経費とあわせて高圧発生用の超硬製アンビルトップを購入するため。 平成26年度の直接経費とあわせて超硬製アンビルトップ(1個あたり\50,000)を購入する予定である。
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Research Products
(6 results)