2014 Fiscal Year Research-status Report
総植物由来原料を用いた天然繊維強化エンプラ系複合材料の創製
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25420735
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Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
西谷 要介 工学院大学, 工学部, 准教授 (30439260)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 複合材料・物性 / バイオマス / 天然繊維強化複合材料 / 材料加工・処理 / レオロジー / 機械的性質 / 表面処理 / エンジニアリングプラスチック |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,樹脂および強化繊維ともに植物由来材料を用いてエンジニアリングプラスチック(エンプラ)に匹敵する総植物由来原料を用いた高性能な天然繊維強化エンプラ系複合材料を創製することを目的に,天然繊維の分散制御技術および天然繊維/樹脂間の界面制御技術の確立を中心に検討した結果,以下の結論を得た. 1.昨年度までの成果から得られた天然繊維(麻繊維)の表面処理技術((1)アルカリ処理による前処理,および(2)ウレイドシランカップリング剤による表面処理),および天然繊維強化エンプラ系複合材料専用のマトリックス樹脂(植物由来ポリアミド1010に植物由来ポリアミド11エラストマーをポリマーブレンド)を用いて,天然繊維を良分散させた複合材料用マスターバッチを調整した. 2.溶融混練法による天然繊維充填エンプラ系複合材料の成形と物性については,二軸押出機を用いた溶融混練法により調整し,射出成形により成形した同複合材料の各種物性を評価した.特に,各種物性に及ぼす繊維充填量依存性やエラストマー添加量依存性などを明らかにし,最適な配合設計技術を構築した. 3.上記2.の二軸押出機を用いた溶融混練法による同複合材料の分散性向上を更に図るため,溶融混練時における材料投入手順の違いが各種物性に及ぼす影響を実験的に検討し,材料投入手順の違いが各種物性に大きく影響を及ぼすことも明らかにした. 4.天然繊維/樹脂間の界面制御技術の確立を目指し,表面処理方法の違いが各種物性に及ぼす影響を検討した.具体的には,(1)撹拌装置および(2)乾式・湿式の違い等を検討し,自転公転ミキサーによる高速撹拌法かつ湿式法による結果が最も改善効果が高いことを明らかにした. 上記により,総植物由来原料を用いた天然繊維強化エンプラ系複合材料の創製に必要な分散制御技術および天然繊維/樹脂間の界面制御技術を構築することができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
総植物由来原料を用いた天然繊維強化エンプラ系複合材料の創製するために必要な項目として,1.植物由来ポリアミドをベースとした複合材料用マトリックスの開発,2.天然繊維の分散制御技術の確立および3.天然繊維/樹脂間の界面制御技術の確立の3点を中心に検討している.前年度までに1.複合材料用の専用マトリックス樹脂を開発,2.および3.の制御技術に必要な(1)天然繊維の前処理,(2)天然繊維への表面処理および(3)天然繊維分散用マスターバッチの調整を検討し,天然繊維強化エンプラ系複合材料の創製に必要な基礎データを構築した.今年度も当初に計画していた,2.および3.の制御技術に必要な(1)天然繊維分散用マスターバッチの調整,(2)溶融混練法による同複合材料の成形と物性,(3)溶融混練法における材料投入手順の違いが各種物性に及ぼす影響,および(4)天然繊維/樹脂間の表面処理技術の構築のため表面処理方法の検討,などの項目を検討し,天然繊維強化エンプラ系複合材料の創製に必要な技術を構築することができた.したがって,おおむね順調に計画通り進んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は今年度までの検討結果を踏まえ,更なる開発材の高性能化を図るため,2.天然繊維の分散制御技術,および3.天然繊維/樹脂間の界面制御技術の確立を中心に継続検討していく.特に,天然繊維分散評価とレオロジー特性の評価として,本研究の中心技術となる天然繊維分散状態および材料のレオロジー特性を把握するために,調整・成形した材料の評価をSEMやレオメータなどを用いて行い,その結果を上記にフィードバックすることにより,定量化および検討時間の短縮化を図っていく.同時に得られた開発材料の実用化に向けて,歯車などの実際の機械部品を製作し,耐久性評価などを行う. さらに,これまで検討してきた1.植物由来ポリアミドをベースとした複合材料専用マトリックス樹脂の開発,2.天然繊維の分散制御技術,および3.天然繊維/樹脂間の界面制御技術の確立について,得られた結果をとりまとめ,国内外の学協会での学会発表,査読付き研究論文の投稿,およびHPなどを通して国民の皆様に情報発信などを行っていく.
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Causes of Carryover |
その他の直接経費として予定していた論文作成に使用する予定であった学会参加費,英文校閲費や論文投稿費などが予定よりも少額で済んだため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
論文投稿数を予定より多くし,論文投稿費や英文校閲費などにも使用していく.また,研究発表成果を広く発信していくために,複数の学会発表などを行っていく予定である.
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Research Products
(14 results)