2013 Fiscal Year Research-status Report
高強度TiB2-Al3Tiナノ複合材の作製と特性調査
Project/Area Number |
25420739
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Ube National College of Technology |
Principal Investigator |
吉田 政司 宇部工業高等専門学校, 機械工学科, 教授 (10370024)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳永 敦士 宇部工業高等専門学校, 機械工学科, 助教 (20609797)
徳永 仁夫 宇部工業高等専門学校, 機械工学科, 准教授 (70435460)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 高強度材料 / ナノ複合材料 / 高温材料 |
Research Abstract |
微細 TiB2粉末を作成するためにTiとBの低温での反応を調べた。その結果、700℃以下でTi粉末とB粉末を反応させるとTiB2のみが生成し、TiBほかの化合物の生成は見られないこと、一方、800℃以上で反応させるとTiB2のほかにTiBが生成することがわかった。さらに、あらかじめ、Tiを水素化脱水素化処理を行うことで、粒径10ミクロンのTi粉末を1ミクロンまで微細化でき、その微細TiとBを反応させることで、粒径1ミクロン程度の微細TiB2を合成できることがわかった。また遊星ボールミルを用いて、アルミナ容器中にTi粉末とB粉末とアルミナボールを入れて、メカニカルアロイングによるTiB2の合成を試みたが、この方法では、アルミナ粉末が混入するために、TiB2の生成については確認できなかった。 TiB2の微細化と並行して、高温引張試験を行うために装置の改良を行った。その結果、室温から800℃までの引張試験が可能となった。また高温引張試験用の試験片を作成するために、直径40mmの大型試料の焼結をおこない、放電加工による引張試験片の作製をおこなった。その結果、TiB2-Al3Ti複合材の引張試験が可能となった。TiB2-Al3Ti複合材の高温引張試験を実施した結果、800℃での引張強度200MPaが得られた。 TiB2の焼結助剤として、Al3Tiの他に、NiAlの添加効果の検討もおこなった。その結果、TiB2-NiAl複合材はTiB2-Al3Ti複合材と比較して硬度は小さいが曲げ強度が大きく、室温で1000MPa、800℃で300MPaの高い値が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
TiとBの低温反応法により、当初の目的である1ミクロン以下の粒径の微細TiB2の作製に成功している。また、メカニカルアロイングによるTiB2合成を試みるために遊星ボールミル装置を購入し、メカニカルアロイング実験も進めている。 TiB2-Al3Ti複合材の高温特性評価のために、引張試験装置の改良をおこない、800℃までの高温引張試験ができるようになった。また、放電加工を用いた、高温引張試験用試験片の加工技術を確立した。その結果、TiB2-Al3Ti複合材試料の800℃までの高温引張試験が可能となった。TiB2-Al3Ti複合材では高温強度の大きい試料は得られていないが、TiB2-NiAlでは室温で1000MPa、800℃でも300MPaの高強度材が得られている。 TiとBの結合の特徴を調べるためにDV-Xα法とLMTO法の計算原理と計算手法を学習した。結合軌道のエネルギーの計算精度ではLMTO法が勝るが、結合軌道の定性的な特徴を明らかにするためにはDV-Xα法が適していると思われた。そこで、DV-Xα法の計算ソフトを入手し、実際にTiB2の電子状態計算を開始した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、TiB2粒子の微細化を試みる。低温反応で微細TiB2を得られることが分かったが、さらに原料のTi粉末、B粉末の粒径の微細化と、TiとBの反応温度の最適化を行うことにより、TiB2粒子の微細化をおこなう。また、引き続き、遊星ボールミルを用いて、メカニカルアロイングによる微細TiB2の合成を試みる。アルミナ容器・アルミナボールを用いるとアルミナ粉末が混入するので、今年度はWC-Co製の容器、ボールによるメカニカルアロイングを行う。次いで、微細化TiB2を用いたTiB2-Al3Ti複合材およびTiB2-NiAl複合材の作製と特性評価をおこなう。TiB2を均一に分散させるために、現在行っている加圧焼結法において、焼結温度や昇温速度などの作製条件を検討するとともに、溶融法による複合材作製も試みる。 TiB2-Al3Ti複合材、TiB2-NiAl複合材の作製と特性評価実験と並行して、TiB2とAl3Tiの結合、およびTiB2とNiAlの結合の特徴をDV-Xα法を用いた電子状態計算によって明らかにすることを試みる。
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