2015 Fiscal Year Annual Research Report
生体吸収性Mg合金のための耐局部腐食性アパタイト-生分解性高分子複合被膜の開発
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25420742
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
廣本 祥子 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 生体機能材料ユニット, MANA研究者 (00343880)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | マグネシウム / 水酸アパタイト / 生分解性高分子 / 複合化 / 耐食被膜 / 疑似体液 / 変形 |
Outline of Annual Research Achievements |
水酸アパタイト(HAp)-HPpolym複合被覆Mg合金、HApのみ被覆Mg合金、HPpolymのみ被覆Mg合金および研磨ままMg合金の100 mm x 25 mm x 0.3 mm薄板について、曲げ角度約80°のU字に曲げた状態でのHanks液(無機塩類のみを含む疑似体液)中への浸潰試験を行った。曲げ中心付近の両面に約5 cm2を残して周囲をシリコーンで被覆した。 HAp-HPpolym複合被覆およびHAp被覆試験片では、U字の内側と外側に曲げ方向に直角なき裂が発生し、内側では一部のHAp被膜が剥離した。HPpolym被覆試験片では、U字曲げによる被膜形態の変化はみられなかった。Hanks液に1wおよび4w浸漬したところ、研磨ままおよびHPpolymのみ被覆試験片からのMgイオン溶出量は同程度であったが、HAp-HPpolym複合およびHApのみ被覆試験片からのMgイオン溶出量は研磨ままよりも約1.5倍高く、HPpolymをHApに複合化してもMg溶出量はほとんど変わらなかった。 HApのみ被覆およびHAp-HPpolym複合被覆試験片では、浸漬1wではU字の内側で腐食発生はみられたが、外側ではシリコーンとの境界に腐食発生が認められるだけであった。浸漬4wでは、U字の外側でもHAp被膜のき裂からの局部腐食の発生がみられたが、腐食の2次元方向への成長は抑制されていた。 研磨ままおよびHPpolymのみ被覆試験片では、浸漬1wでシリコーン被覆との境界から腐食が発生し、浸漬4wでは境界から発生した腐食が2次元方向に成長して糸状腐食を示していた。曲げ中心付近からの腐食発生はみられなかった。これより、HPpolym被覆はMg合金の大きな変形に追随でき、変形箇所が腐食の起点にならなかったと考えられる。 本研究での曲げ角度は、ボーンプレートを患部の形状に合わせて変形させる場合よりも大きく変形させる場合を想定した。しかし、変形が大きすぎてHAp被膜の剥離が生じてしまったことから、HPpolymとの複合化の効果がみられなかったと考えられる。
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