2014 Fiscal Year Research-status Report
低熱膨張性と強靭性を兼ね備えた、低温硬化型高耐熱性高分子複合材料の開発
| Project/Area Number |
25420748
|
|---|
| Research Institution | Osaka Municipal Technical Research Institute |
|---|
Principal Investigator |
大塚 恵子 地方独立行政法人大阪市立工業研究所, 有機材料研究部, 研究室長 (50416286)
|
|---|
| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 肇 地方独立行政法人大阪市立工業研究所, 有機材料研究部, 研究主任 (60416287)
松本 明博 地方独立行政法人大阪市立工業研究所, 企画部, 企画部長 (40416285)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
| Keywords | マレイミド / アリル化合物 / エポキシ樹脂 / アミン / 高耐熱性 / 低熱膨張性 / 強靭性 |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
次世代パワーデバイスであるSiCパワーデバイスモジュール実装に使用される封止材料には、200℃の連続使用に耐える高耐熱性や、フレーム材やデバイスとの熱膨張差を軽減するための低熱膨張性、クラック対応のための靭性が要求されている。しかし、耐熱性と靭性はトレードオフの関係にあり、耐熱性を維持したまま靭性を向上させるためには、出発原料の一次構造と硬化物物性の関係を明らかにすることが必要である。
本年度は、マレイミド樹脂をベース樹脂としたアリル化合物やアミン、エポキシ樹脂とのポリマーアロイの熱膨張性や靭性と一次構造の影響を明らかにするために、出発原料の化学構造、配合条件や硬化条件が熱膨張性や靭性に与える影響について検討した。アリル基含有エポキシ樹脂をマレイミド(BMI)で変性することで、架橋密度の増大とそれに伴うガラス転移温度の上昇が認められた。破壊靭性値や熱膨張率については、架橋密度との相関性は認められず、マレイミドの配合による変化は認められなかった。また、BMIの一部を主鎖に脂肪族ユニットを持つマレイミド(TMH)に置き換えることで、破壊靭性値の大幅な向上が認められ、マレイミドとしてTMHを単独で用いた系と同等の値を示した。BMIの一部をTMHに置き換える場合でも、アリル基含有エポキシ樹脂に対するマレイミドの配合割合を大きくすることで、ガラス転移温度の低下や熱膨張率の増大を抑えることが可能であった。アリル基含有エポキシ樹脂／アミン反応系にマレイミドを配合することで、エポキシ基とアミンの反応以外に、マレイミドとアリル基、あるいはマレイミドとアミンの反応が起こる。その結果、複数の架橋高分子網目が相互に侵入し合ったネットワークを形成するために、ネットワーク全体の分子運動性が抑制されることで、耐熱性や熱膨張性、靱性が向上したものと考えられる。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マレイミド樹脂をベース樹脂とした低熱膨張性・強靭性・高耐熱性樹脂の開発のために、マレイミドと反応化合物の一次構造や配合条件、硬化条件と熱膨張性や靭性との関係を検討した結果、低熱膨張性かつ強靭性を得るための構造設計、配合条件や硬化条件を見出した。よって、本年度の研究目標を達成することができた。
|
| Strategy for Future Research Activity |
平成25、26年度において、マレイミド樹脂をベース樹脂とした、低熱膨張性・強靭性・高耐熱性樹脂の開発のために、出発原料の一次構造や配合条件、硬化条件と低熱膨張性・強靭性・高耐熱性との関係を明らかにした。最終年度である次年度は、これまでに得られた変性マレイミド樹脂の構造設計指針を基に、マレイミド／アリル化合物／アミン／エポキシ樹脂反応系において、最高硬化温度200℃以下で、低熱膨張性・強靭性・高耐熱性樹脂を開発するための配合条件や硬化条件の最適化を行う。開発した変性マレイミド樹脂の実用化を目指すために、最適化された樹脂の熱膨張性・靭性・耐熱性以外の硬化物物性の評価を行う。
|
| Causes of Carryover |
靱性測定用試料作製のために購入予定であった実態顕微鏡を別予算で購入したために次年度使用額が発生した。
|
| Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の直接経費120万円（当初計画）は、物品費に70万円、旅費に30万円、その他に20万円を予定している。残金については、硬化物物性測定用試料作製のために、高精度の温度コントロールが可能な送風定温恒温器を購入予定である。
|
