2013 Fiscal Year Research-status Report
バイオテンプレートプロセスによる電磁波応答材料の開発
Project/Area Number |
25420751
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
鎌田 香織 東京工業大学, フロンティア研究機構, 特任准教授 (00361791)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | バイオテンプレート / 珪藻 / 電磁波応答 |
Research Abstract |
本研究は、自然界の周期的マイクロ構造をバイオテンプレートとする高周波帯域電磁波応答材料の作製を目的とし、電磁波応答に適した構造をもつ藻類・バクテリア・植物組織の探索、2. 電気伝導体への転写(バイオテンプレート)プロセスの確立、3. 電気伝導性マイクロ構造体の配向制御、4. 電磁波応答特性の測定とサンプル形態の確立の4項目を通じて、生物・植物が自らつくりだす特異なマイクロ構造を電磁波応答材料として活用し、これまでのように人工的構造形成にエネルギーを傾注する研究手法から脱却した材料作製プロセスを提案する。 平成25年度は、電磁波応答に適したミクロ構造をもった藻類の選定を行った。電磁波の透過・吸収特性は、主に表面周期構造、誘電率、構成金属の表面プラズモン・ポラリトン特性に依存する。そこで、藻類のミクロ構造における秩序性に着目した。また、鋳型となる微生物の培養環境における構造制御性の検討も合わせて行った。マクロメートル領域において特異的な周期構造、幾何学構造をもつ藍藻類、円石藻、珪藻類、計7種類の株から培養を試みた。その結果、珪藻類キクロテラ、エオリムナ、コアミケイソウの3種において、人工培養下の良好な増殖がみられ、培養環境による被殻厚の制御が可能であることがわかった。これらの珪藻は、1.5ミクロン程度の胞紋パターンをもち、さらにその胞紋には、師板とよばれる、200 nm程度の孔が幾何学的に配列しているホールアレイシートを有することが特徴である。FDTD計算において、この階層的ホールアレイを金属被覆した際に得られる透過率を求めたところ、波長5ミクロン程度まで表面プラズモン・ポラリトンに起因した以上透過現象がみられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の申請時に予定した、平成25年度の研究実施計画を概ね完了できた。具体的には、本研究に適した微生物(バイオテンプレート)の選定と培養環境整備を行い、試験的な金属被覆構造の作製も着手した。さらに、FDTD計算により、想定する珪藻由来の金属微細構造における高周波帯域の表面プラズモン・ポラリトン特性評価も行った。
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Strategy for Future Research Activity |
選定した珪藻の大量培養とバイオテンプレートプロセスの確立を行う。特に、金属被覆を伴う、バイオテンプレートプロセスでは、無電解めっきを軸に化学的手法を駆使して、珪藻の微細かつ複雑な階層構造を追従した金属構造体を作製することを目的とする。珪藻には、マイクロメートルからナノレベルにいたる空孔(ホール)の配列パターンが存在する。追従型金属構造体を作製できれば、これまで人工的には作製不可能なホールアレイを実現でき、その光物性の検証に展開できる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は、実施計画に記載の高周波応答に適したマイクロ構造をもつ藻類の選定とFDTD法を用いた光物性評価を主に実施し、概ね順調に進捗している。ただし、選定した藻類の培養環境整備に予定よりも時間を費やしたため、大量培養とバイオテンプレートプロセスは着手しただけにとどまっている。大量培養に向けた設備と各種金属を用いた被覆工程に用いる消耗品費と次年度使用額として計上した。 上記理由に述べた、平成25年度に達成されなかった項目を実施するため、大量培養に向けた設備整備とバイオテンプレートプロセスに用いる基板、コーティング装置の整備に使用する予定である。
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