2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25420752
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
森川 淳子 東京工業大学, 理工学研究科, 教授 (20262298)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 温度波熱分析法 / 電子線リソグラフィー / 断熱材 / 熱拡散率 / ミクロ対流 / 輻射 |
Research Abstract |
提案者が開発した熱解析のミクロスケールイメージング技術を,高分子複合系断熱材の設計に応用し,複合系のミクロ対流や輻射による熱エネルギー輸送の定量化を行うことを目的とした。本年度はそのための断熱材モデル系の作成方法を電子線リソグラフィーの手法を用いて確立した。この手法を要約すると,リフトオフ法によりクロムマスクを堆積し,濃水酸化カリウム水溶液によるシリコンウエハ[100]面を用いた異方性エッチングによりシリコンモールドを作製,これに高分子溶液をスピンコートし,剥離することにより,0.1 ~30 μmの範囲の径をもつ微細孔が規則的に配列したパターンを転写したフィルムを作成した。このフィルムを多層積層し,孔径を制御した断熱材の微細孔モデルとした。加えて,直径数μmの熱起電力型ミクロセンサーを試作し,ミクロスケールの微細孔1個あたりについての熱拡散率を,温度波熱分析法により測定することに成功した。この方法により,ミクロ界面サイズが増大することで,センサーへ向かって壁部分を伝播する温度波とミクロ界面熱抵抗で減衰されてから伝播してくる温度波の伝播様式が変化する可能性が示唆された。また,マイクロチャネルが付属した微細孔で大気圧下・減圧下・ヘリウム置換条件下で微細孔中心部ミクロセンサーを接触させて温度波熱分析法による測定を行ったところ,測定された見かけの熱拡散率と積算した強度の結果を比較することで,マトリクス内の熱伝導・微細孔内の熱伝導・輻射の寄与が見かけの熱拡散率の測定結果に表れていることがわかった。そして,それら3つの熱伝達様式はミクロ界面サイズに相関して強度を変化させていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高分子複合系断熱材のミクロ伝熱に関する定量的な解析は、高性能な断熱材設計に必須である。本年度は断熱材モデル系を電子線リソグラフィーの手法により確立することに重点をおき,固体/気体ミクロ界面の熱拡散率のミクロスケール測定を、新規に開発したミクロスケール温度波熱分析法により行なうことに成功した。イメージング技術の適用のための基礎データの構築として、順調な進捗状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
電子線リソグラフィーによるミクロ孔を有する断熱材モデル系の作成,ならびにミクロスケール温度波熱分析法による固体/気体ミクロ界面の熱拡散率の定量化について構築した技術と結果に基付いて,ミクロスケール可視化熱イメージングの手法の開発を行なう。そのための,中赤外線波長領域の光源の選定をすすめ,さらに分光法と組み合わせて2次元あるいは3次元の熱の可視化およびその時分割測定へと開発を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
断熱材のミクロ・マクロ構造の可視化を行なうための赤外光源およびテラヘルツ赤外コンバーターの購入を予定したが,希望する性能を実現するための価格が当初の計画より高額となり, 基金化により次年度の購入を予定することとした。 次年度の当初予算と併せて, 赤外光源あるいはテラヘルツー赤外コンバータ―の導入を予定している。性能設計にあたっての評価を現在進行中である。
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