2015 Fiscal Year Annual Research Report
ポーラス金属の衝撃吸収性と超塑性材料の制振性を併せ持つ多機能亜鉛合金の創製
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25420759
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
北薗 幸一 首都大学東京, システムデザイン研究科, 教授 (20321573)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ポーラス材料 / 超塑性 / 鋳造 |
Outline of Annual Research Achievements |
ポーラス金属は、衝撃吸収、断熱、吸音、制振といった多くの特性を有する機能性材料である。ポーラスアルミニウムは、製造が容易であるため広く用いられているが、塑性加工が困難である。本研究では、超塑性合金であるZn-22Al合金をセル壁材とすることにより,優れた塑性加工性,制振性,衝撃吸収特性等を有するポーラス金属の作製を試みた。 溶湯発泡法により作製した発泡体に精密切断機を用いて、直方体試験片を切り出した。試験片に熱処理を行うことにより、超塑性の発現に必要な微細な等軸結晶粒が得られた。室温と高温にてクロスヘッド速度を変化させた圧縮試験を行った。ポーラスZn-22Al合金ひずみ速度依存性は、523Kにおいてm=0.5、298Kにおいてm=0.2であった。これらの値はZn-22Al合金と等しかった。したがって、ポーラスZn-22Al合金の高いひずみ速度感受性は、セル壁の粒界すべりによるものであることがわかった。 ポーラスZn-22Al合金の動的圧縮挙動を調査するため、衝突速度3m/sでの落錘式高速圧縮試験を実施した。ポーラスZn-22Al合金は、圧縮速度が高くなるにつれ変形応力も高くなり,その結果高いエネルギー吸収特性を示した。また、ポーラスアルミニウムと比較しても高いエネルギー吸収特性を有していた。 発泡剤に反応により不燃性ガスが生じる炭酸水素ナトリウム粉末を用いてポーラスZn-22Al合金を作製した。従来の水素化チタンを用いた発泡体と同等の試料を作製できた。以上の結果は、ポーラスZn-22Al合金の低コスト化、安全性の向上につながると考えられる。本研究全体により、超塑性とポーラス材料を融合させた新しい材料の可能性を示すことに成功した。
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