2013 Fiscal Year Research-status Report
粉体使用量を最少化した複合めっきプロセス確立のための複合めっきメカニズム解明
Project/Area Number |
25420768
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
佐伯 功 室蘭工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50235090)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 電気めっき / 複合めっき / メカニズム |
Research Abstract |
平成25年度は以下の項目に関して検討を行った。 (1) Zn-アルミナ,Zn-Cr2O3,複合めっき系における複合めっきメカニズムの構築を目指し,粉体の粒径測定,PZC測定,イオン吸着量測定,および複合めっき実験を実施した。複合めっき中の粉体濃度は,用いた粉末のPZCであるpH=7付近で最大になることを見出した。このpHで粉体の粒径が最大となった。表面電荷はPZC以下では正,以上では負であり,Znイオン吸着量はpHの増加とともに増加した。結果に基づき,粉体表面の電荷と表面吸着Znイオン濃度に着目した仮の複合めっきメカニズムを提案した。すなわち,低いpHでは粉体表面が正に帯電し粉体吸着が促進される一方,吸着Znは少なく複合めっきに至らない,逆に高いpHでは吸着Zn濃度は高いが表面が負に帯電しており粒子が電極に接近できない。このようにどちらの極端でも複合めっきが困難となると考えている。 (2)26年度に本格検討を行うための新たな金属-錯体系めっき浴として,Ni-グリシン錯体浴,スルファミン酸ニッケル浴を見出した。前者は広いpH範囲でめっき可能であったが,電流効率および表面形態に難がある。一方,後者は酸性側でのみ使用可能であるが,可能な電流密度範囲が広く,電流効率はpHによらず100%であった。 (3)26年度に本格検討しようとするSiCを入手し,ミクロ形態,PZC,粒径測定,よびイオン吸着量測定を行った。この粉体のPZCはおよそ4程度であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は,複合めっき浴中粉体粒子濃度を現在用いられている数値から大幅に低減しためっき浴を開発し,その浴を用いた複合めっきプロセスを確立することである。 この目的達成のために,複合粉体表面へのめっきイオンの化学吸着に着目し,(1)表面イオン吸着量を大きく変えるために必要な,広いpH 領域で作動可能なめっき浴を見出し,(2)見出された浴を用いて複合めっき膜組成に対するめっきイオン濃度とpH の影響を詳細に検討し,(3)温度,電流密度,粉体濃度,粉体の表面物性,めっきイオンの種類と濃度,およびpH を変数として複合めっき制御を数式化する。最終的に式を用いて目的とする粉体使用量を低減した複合めっきプロセスを確立しようとしている。 平成25年度はほぼ予定通り進行したと判断する。ただし当初に予定していたZn-TiO2系の検討は行えなかったため,次年度の実施が望まれる。一方,Ni-SiC系複合めっきの検討を次年度に先行して実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
現在のところ,当初の研究計画から大きな変化はなく,平成26年以後は予定通り,以下の項目を検討してゆく。 (1) 前年度の検討で見出されためっき系-粉体の組み合わせを用いた実験検討と複合めっきモデルの一般化 (2) 粉体使用量を大きく減じた複合めっき膜作成実験 (3) 作成した複合めっき膜の摩擦試験
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
設備備品費のうち,温度制御水槽,定電流電源,撹拌装置は既存の物品を修理して利用可能であったため購入しなかった。消耗品に関しては節約に務めた結果,出費を削減できた。 生じた繰越金は26年および27年の研究に有効活用し,主に実験に用いる消耗品と旅費に充当する予定である。
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