2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25420772
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
羽深 等 横浜国立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40323927)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 化学気相堆積 / 圧電性結晶振動子 / その場評価技術 |
Outline of Annual Research Achievements |
化学気相堆積(CVD)法の基礎解析実験技術を研究するため、下記の(1)と(2)を目的として研究を行う。 (1)CVD反応器内で複雑に関わり合う諸現象(移動現象(流れ、熱、化学種輸送)と表面反応)の詳細および全体像を簡便に捉える方法として、圧電性結晶振動子(ランガサイト)を用いた「その場計測技術」を研究する。(2)その場測定の詳細情報を基に、高品質薄膜形成のプロセス最適化・効率化・精密制御を実現する思想と方法論を提案する。 これらを達成するために今年度は、提案書に記載された装置を用いて研究を進めた、即ち、それら条件のうち成膜が進行し得る条件に着目して詳細に測定し、その様子を基に、化学反応により生じる環境の変化、成膜速度の変化、などを推定した。 成膜が進行し得る温度に昇温して前駆体(トリクロロシラン(TCS),三塩化ホウ素(BCl3))を導入した場合の振動数の変化を測定した。400~570℃において水素にBCl3を種々の濃度で混合したところ、400℃においてはBCl3の濃度を増加させた際に流体物性(密度・粘度)に応じて振動数が段状に減少するものの、その後は一定に保たれることから、成膜は生じていないものと判断された。470℃においては、BCl3濃度変化による段状の変化を呈した後に極めて穏やかに経時的な振動数減少が認められた。更に、570℃においては経時的な振動数の減少が明らかに認められた。これによりBCl3は470℃付近で成膜を伴う化学反応を開始すると考えられた。TCSの成膜最低温度が470℃付近であることを併せ、400~570℃においてTCSとBCl3を混合したところ振動数の減少が観察され、混合した場合にも470℃付近で成膜が開始されることが把握された。得られた膜の中のから二次イオン質量分析(SIMS)によりホウ素が検出されたことから。本研究の方法が妥当性であることを判断した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は予定通り下記を行い、予定していた項目について成果を得たことが理由である。 成膜が進行し得る条件に着目して詳細に測定し、その様子を基に、化学反応により生じる環境の変化、成膜速度の変化、などを推定できた。 成膜が進行し得る温度に昇温して前駆体(トリクロロシラン、三塩化ホウ素)を導入した場合の振動数の変化を測定したことにより、成膜が進行しない場合には時刻により変化しないことに対し、成膜が進行する場合には振動すが継続的に変化することを、成膜の進行を検出する方法とした。その方法により、成膜検出が可能になる最低温度を評価することができた。実際に基板上に成膜を行い、その結果を二次イオン質量分析により評価したところ、実際に成膜されたことを検証できた。これにより、本研究の方法の妥当性を判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
3年目は、成膜と流体特性の変化を総合して、振動数に影響する要因を整理し、CVD装置内の成膜に関わるプロセスの全体像を理解する。更に、この知見を活かして、例えば前駆体導入に際して生じる不安定現象について下記を行う。(1)反応熱による基板表面温度の変化と定常状態到達に要する時間の評価.(2)流体物性(密度・粘度・比熱など)の変化と定常状態到達に要する時間の評価.(3)その他、攪乱により発生する不安定状態と定常状態到達に要する時間の評価.4)不安定状態における成膜量の把握.(5)これら不安定状態を抑制して素早く安定状態を形成する方法の考察・提案.これらにおいては、必要に応じて排出側にも圧電性結晶振動子を導入し、そこにおける振動数変化を参照しながら、反応器内の状態推定を試みる。
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