2013 Fiscal Year Research-status Report
プレス成形における素材の初期残留応力の影響の予測・評価手法の確立
Project/Area Number |
25420776
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
早川 邦夫 静岡大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80283399)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂井田 喜久 静岡大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10334955)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 残留応力 / 高張力鋼板 |
Research Abstract |
プレス成形用金属板材の加工前後残留応力の高精度な予測のため,矯正工程を模擬した繰返し4点曲げを行った.素材は,市販440MPa級高張力鋼板(公称厚さ1mm)で,曲げ軸方向は圧延直角方向とした.矯正前には,初期曲げ時引張り側および圧縮側にそれぞれ約100MPaおよび83MPaの曲げ方向応力が残留していた.1回目および2回目の曲げ加工後,引張り側および圧縮側の残留応力は,それぞれ1回目の加工後に約-122MPaおよび27MPa,2回目の加工後に,約-62MPaおよび-35MPaとなった. この結果を,有限要素解析で再現することを試みた.実験で得られた曲げ時の応力-ひずみ曲線を再現できるChabocheモデル(複合硬化則モデル)を用い,初期残留応力の板厚方向分布を初期条件として入力した.その後,実験と同様の2回の曲げ加工を行った.その結果,1回目および2回目の曲げ加工後に残留する表面の曲げ応力の変化を十分な精度で再現することができた.この結果は,材料モデルとして,一般に用いられる等方硬化則を用いた場合は十分に表現できなかった.また,Chabocheモデルを利用しても,初期残留応力を考慮しない場合には,1回目および2回目の曲げ加工後の残留応力の変化を定性的にも表現はできなかった. 以上から,プレス用金属板材のような,板厚の薄い,残留応力レベルも比較的低い素材に対して,残留応力の高精度な測定および高精度な予測が可能であることが確認できた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年目として,プレス成形用金属板材の塑性変形を伴う曲げ加工(たとえば矯正加工)に対して,従来のX線残留応力測定の妥当性ならびに十分な精度での解析の可能性を明らかにできた. これは,申請時に提案した研究目的②のうちの「矯正工程の高精度有限要素解析による残留応力予測とその場計測による残留応力評価ならびに両者の比較」について有益な結果が得られたことを示している. 以上より,1年目の成果としては,おおむね順調に進展していると判断できる.
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Strategy for Future Research Activity |
2年目には,プレス用金属板材の矯正工程のその場測定の可能性を有するcosα法にもとづくX線残留応力測定装置(本補助金にて購入済み)の測定精度を調査した後,本装置による矯正工程時の残留応力測定を行う. また,実プレス成形解析において,初期残留応力の考慮の有無が,解析結果に及ぼす影響を調査する.具体体には,高精度な構成式,上記装置による残留応力測定,プレス成形品の形状評価などをおこなう. プレス成形用板材は,圧延の影響や材質の制御により,異方性が存在する.その異方性を考慮したcosα法による残留応力測定手法についても検討を行う.
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Research Products
(2 results)