2015 Fiscal Year Research-status Report
マンガン系ヒュームの無害化のためのヒューム粒子径・粒子形状制御技術の開発
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25420779
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田代 真一 大阪大学, 接合科学研究所, 助教 (70432424)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | アーク / 溶接 / ヒューム |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒュームとは、アーク溶接中の溶接ワイヤー等から蒸発した金属蒸気から発生する、ナノ~マイクロメーターサイズの微粒子であり、これを溶接作業者が吸入し続けた場合、じん肺やパーキンソン病等の深刻な健康被害を生じる事が指摘されている。本課題では、実験と数値シミュレーションの両面から、溶接ワイヤー組成やシールドガスの反応性がヒュームの生成機構に及ぼす影響を解明すると共に、吸入時に人体への危険度が特に高い微小粒子の含有率を低下させ、更に防じんマスクでの捕集率も向上させる為の粒子径・粒子形状制御の学術基盤を確立する。そして、これらの知見を通じて、特にパーキンソン病の発症に深く関わるマンガン系ヒュームの無害化を実現する事を目標とする。 溶滴移行を伴うGMA溶接では、ヒューム生成を支配するアークの温度場及び速度場ならびに金属蒸気の濃度場等が、時間的に極めて大きく変化することとなる。したがって、ヒュームの低減化及び無害化に向け、溶接プロセスや溶接材料、溶接パラメータ等の違いがヒューム生成機構に及ぼす影響を明らかにするためには、GMA溶接モデルとヒューム生成モデルを完全に連成した新たな数値解析モデルを用いた検討が望ましい。 そこ本研究では実験観察と平行して上記の連成モデルの開発も行っている。本年度は純鉄製ワイヤ及び純アルゴンガスを用いたパルスMIG溶接を仮定した計算を行った。その結果、溶滴移行現象やアーク現象に加え、金属蒸気の溶滴からの蒸発やアーク中での輸送、アーク柱外縁部での核生成によるヒュームの生成、その後の凝縮及び凝集による成長、周囲空間への散逸といった一連の現象を同時に取り扱うことが可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成27年度は、主にGMA溶接モデルとヒューム生成モデルを完全に連成した新たな数値解析モデルを開発した。本年度は純鉄製ワイヤ及び純アルゴンガスを用いたパルスMIG溶接を仮定した計算を行った。その結果、溶滴移行現象やアーク現象に加え、金属蒸気の溶滴からの蒸発やアーク中での輸送、アーク柱外縁部での核生成によるヒュームの生成、その後の凝縮及び凝集による成長、周囲空間への散逸といった一連の現象を同時に取り扱うことが可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、アルゴン-二酸化炭素混合ガスについて、反応性がヒューム特性に及ぼす影響について実験観察を通じて検討する。これと併せて本年度新規に開発したGMA溶接モデルとヒューム生成モデルを完全に連成した新たな数値解析モデルにより、特にパーキンソン病の発症に深く関わるマンガン系ヒュームの生成プロセスについて詳細に検討する。
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Causes of Carryover |
研究実施機関である大阪大学接合科学研究所が、昨年度に大規模な耐震改修工事を実施し、研究室及び研究設備を全て他の研究棟へ仮移転した。その関係で本年度は実験等の進捗が大幅に遅れた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度は仮移転した研究室にて実験装置を構築しマンガン系ヒュームの生成プロセスの実験観察を行う。また、これと併せて大阪大学の大型計算機センターを活用してヒューム生成プロセスの数値シミュレーションも実施したい。
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Research Products
(1 results)