2014 Fiscal Year Research-status Report
間接電解法による酸化チタン厚膜の作製と色素増感太陽電池への応用
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25420782
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Research Institution | Osaka Municipal Technical Research Institute |
Principal Investigator |
千金 正也 地方独立行政法人大阪市立工業研究所, 電子材料研究部, 研究主幹 (40416326)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 酸化チタン / 膜 / 色素増感太陽電池 / 電解 |
Outline of Annual Research Achievements |
チタン源であるチタン乳酸錯体:チタン(IV)ビス(アンモニウムラクタト)ジヒドロキシド(TALH)と、硝酸アンモニウム(AN)を含む水溶液を用いて、間接電解による製膜をおこなった。ステンレス板をダミー電極とし、マスキングテープをスぺーサーとして、上下2ヶ所に配置し、これらを挟む形で、目的とする基板(石英ガラス、あるいは透明電極)を、ダミー電極から1mm離して向い合せに設置した。対極をPt板として定電流電解還元し、目的とする基板上にTiO2膜を製膜することができた。 以下、典型的な結果を示す。石英ガラス板を目的基板とし、ステンレス板をダミー電極とした。ダミー電極の電解する部分(=電解液に触れている部分)の面積に対して、基板の液に浸漬されている部分の面積は、2倍とした。TALH濃度0.05M、AN濃度0.2Mという電解液組成で、ダミー電極を使った定電流電解(電流密度-10mAcm-2)を5.5h続けると、1μmまで製膜できた。膜厚目標値は10μmであり、膜厚が不十分と考えられたため、AN濃度を0.5Mに増やすことで、増膜を検討した。その結果、膜厚は、上記同様の電解条件で4μmに増加した。なお、AN 0.2M、0.5Mいずれの場合も、石英ガラス基板のうち、液面より上の領域にも、毛細管現象で膜が析出した。ただし、AN 0.5Mの場合は、膜が粉状になり、析出部分も不均一となった。この場合、液中で数10μmの大きな粒子が析出・堆積し、ダミー電極と石英ガラス基板の間を塞いでしまうために、液の流通、ひいては液中の基質の移動を妨げた結果、不均一な膜となったと考えられる。AN濃度0.2Mと0.5Mを適宜用いて、透明電極上に製膜→熱処理を、3回くりかえして、酸化チタン膜を作製し、色素増感太陽電池を構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
間接電解法による酸化チタン膜作製において、添加する硝酸アンモニウム量を変化させ、膜厚を増加させることができたが、同時に膜質の低下も認められた。到達膜厚がまだ薄く、目標とする10μmに達していない。いっぽう、製膜と熱処理のくりかえしによって透明電極上に酸化チタン膜を作製し、色素増感太陽電池として利用できることを見出したが、目標値5%には達していない。
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Strategy for Future Research Activity |
硝酸アンモニウム濃度については、0.2Mを基本として、膜厚10μmかつ均一な製膜を目指す。たとえば、電解を長時間、あるいは数回おこなって膜を積層していく、などの方策を検討している。こうして十分な膜厚を稼ぐことで、色素増感太陽電池の変換効率5%を目指す。また、毛細管現象によって電解する面積よりも、広い面積(4倍)への製膜が可能であることを見出しており、ダミー電極の電解部分面積に対して、どの程度まで広い面積の製膜が可能か、見極めることも、検討している。
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Causes of Carryover |
膜厚増加と色素増感太陽電池性能アップの検討を、次年度精力的におこなう必要性が生じたため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
基板(石英ガラス、透明電極)70000円 試薬 30000円
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