2015 Fiscal Year Annual Research Report
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25420783
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Research Institution | Toyota Central R&D Lab., Inc. |
Principal Investigator |
伊関 崇 株式会社豊田中央研究所, 材料・プロセス1部 表面改質研究室, 主任研究員 (60394897)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | DLC / 動径分布関数 / ラマン散乱 / ナノインデンテーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本年は成膜条件の異なるDLC膜の特性と構造の関係を調査した。また、放射光を用いた微小角入射X線散乱(GIXS)スペクトルとラマン散乱スペクトルの比較を行った。 実験には、投入電力を500 ~1500 W、メタンを前駆体とする高周波(RF)プラズマCVDにより作製したDLC膜を用いた。 各DLC膜のGIXSスペクトルから動径分布関数(RDF)を算出したところ、すべての試料で0.15 nmおよび0.25 nm付近に第1、第2隣接ピークが観察された。また、投入電力の大きい試料ほど、第1隣接のRDFは小さくなる傾向を示した。これはC-Cの結合間距離がダイヤモンドより短いグラファイト的な構造が増大したためと考えられる。さらに、1500 Wの試料でRDFが0.4 nm以降は明確なピークが複数認められ、中距離秩序性が他の試料より増していることが分かった。 GIXSとの比較を行うため、同一の試料を可視光ラマン散乱に供したところ、投入電力の増大とともに、Gピークが 約45 cm-1、高波数側へシフトする傾向を示し、同時に、D/G比は大きくなる傾向を示した。これらの傾向はそれぞれ、sp2炭素のクラスター化、膜中の環構造の増大を示すと考えられる。すなわち、投入電力の大きい試料ほど、環構造を有するグラファイト成分が増大し、中距離秩序性が増大すると考えられ、本結果はGIXSの結果とも良い一致を示した。 DLC膜の硬さは投入電力の増大に伴って、低下する傾向を示した。これは高硬度化因子であるsp3炭素の減少(sp2炭素の増加)や水素量の増加などが考えられるが、水素量はほぼ同等の値であったため、sp2、sp3炭素による膜構造の変化が主要因と推察される。今回のGIXSとラマン散乱の結果から、投入電力の異なるDLCにおいて、膜中のsp2炭素の増大とクラスター化が膜硬さを低下させる主要因であることが示唆された。
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Research Products
(1 results)