2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25420784
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
岩井 一彦 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80252261)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊谷 剛彦 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (20250475)
大参 達也 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90169061)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 電磁振動 / 境界層 / 凝固 |
Outline of Annual Research Achievements |
合金の凝固時に電磁振動を印加することで、ミクロスケール流動を誘起して溶質濃度の分布を制御することが目的である。そこで、可視化実験、および凝固実験を行った。可視化実験であるが、硫酸と硫酸銅の混合水溶液に対して,0.2 Tの静磁場を印加しながら,デンドライトを模擬した凹凸形状を有する銅電極をアノードとして直流通電または直流と交流との重畳通電を行った。これらの2条件の下でアノード近傍の濃度境界層および流動をカメラにより直接観察した。得られた知見は以下の通りである。直流通電するとアノード近傍では密度差による下降流が生じるものの,凹部の左側と右側では電磁気力の向きが異なるので,濃度境界層厚みおよび濃度境界層内部濃度に差ができた。すなわち,固液界面形状は対称であっても電磁気力は非対称となる場合があり,濃度境界層の形成過程に差が生じる可能性が示唆された。また、アノード凹部の左側斜面部における濃度境界層内明度低下は,直流と交流との重畳通電のときより直流通電のときの方が大きかった。これは,直流と交流との重畳通電により,その近傍の液相が撹拌されたためである。 凝固実験に関しては、Sn-Pb合金を一方向凝固させ、電磁振動印加が溶質分布へ与える影響について検討した。その結果、以下の知見を得た。凝固前期における電磁振動の印加により,凝固前期における初晶Pb濃度は低減した。一方,凝固後期における電磁振動の印加により、凝固後期領域の初晶Pb濃度は増大した。これらの結果は,電磁振動が対流を誘起して重力偏析を低減したためと考えられる。また,電磁振動を印加開始した固相率から推察すると,今回の実験条件における溶質移動誘起可能な限界固相率はおよそ0.7であると推定された。
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