2014 Fiscal Year Research-status Report
半凝固金属加工条件最適化のための流動・凝固シミュレーション技術の確立
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25420786
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
安斎 浩一 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40232087)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 超微細球状初晶 / 半凝固金属スラリー / 流動性 |
Outline of Annual Research Achievements |
H26年度の研究計画に従い、東北大式垂直吸引流動性試験法を改良し、「吸引式」ではなく「加圧式」にて、半凝固金属スラリーの流動性を評価する技術について検討した。半凝固金属スラリーの流動性は、初晶が微細な球状結晶として晶出することで向上することが判っていることから、「加圧式」で用いるパイプの熱特性とパイプ中に流入し凝固した組織の関係を調査しすることとした。まず、半凝固金属スラリーにパイプを挿入する方法について検討したところ、スラリーの上方からパイプを挿入する方法では、実験のばらつきが大きく安定した実験結果を得ることができなかった。試行錯誤の結果、スラリーの下部にパイプをセットし、半凝固金属スラリーを上部から加圧することで、円筒形状の半凝固金属スラリーの中央部をパイプに流入させる方法により安定した条件で実験が可能であることを見いだした。次に、パイプ内に流入した半凝固金属スラリーの流動停止機構を評価するために、パイプの表面に複数に穴をあけて熱電対を挿入し、流動中の半凝固金属スラリーの温度変化を測定した。また、パイプ内で凝固したAl合金をパイプから取り出し切断し、各部位の組織を調査した。パイプ壁面近傍とパイプ中央部に相当する部位の組織を詳しく調べたところ、金属スラリーの初期固相率、パイプの内径、肉厚、初期温度等の条件の違いによって観察される初晶の形状が大きく変化することを見いだした。観察された組織の特徴は、従来から知られている数十ミクロンの微細な球状初晶だけでなく、数ミクロン程度の超微細な球状初晶が出現することである。実験結果を整理したところ、パイプに流入した半凝固金属スラリーに対する冷却速度がある適当な範囲にあるときにのみ、超微細な球状初晶が出現することを見いだした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りに、半凝固金属スラリーの流動性を安定して評価できる「加圧式」の実験手法を確立することができた。また、開発した実験手法を用いてAl合金スラリーの流動性試験を実施したところ、従来から知られていた数十ミクロン程度の球状初晶ばかりではなく、数ミクロン程度の超微細球状初晶が晶出する条件を見いだした。
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Strategy for Future Research Activity |
H27年度は、当初の計画通りに、H26年度に確立した実験手法、実験装置を活用して、各種合金の半凝固スラリーの流動特性に関するデータベースを構築する。
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