2013 Fiscal Year Research-status Report
酸化物厚膜/金属系の熱伝導度測定法の確立と鋼の圧延工程における冷却制御への応用
Project/Area Number |
25420789
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
遠藤 理恵 東京工業大学, 理工学研究科, 助教 (00372459)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 熱伝導率 / 熱拡散率 |
Research Abstract |
本研究の目的は、酸化スケールが存在する鋼系において、「酸化スケール」と「鋼」の熱伝導度を同一装置を用いて測定する手法を確立することである熱伝導度測定のために、本研究では従来より用いてきたホットストリップ法を改良し、従来よりも短時間で測定できる装置の開発と解析方法の改良を行う。 平成25年度は、ホットストリップ法により酸化物厚膜/金属系熱伝導度測定法の確立を行うことを目的とした。仮にスケールの熱拡散率を1 × 10-6 m2s-1 、スケール厚さを100 mとすると、スケール上のヒーターから供給した熱が基板(鋼)に到達するのは1 msと見積もられる。したがって、1 ms間の温度上昇をとらえるシステムが必要となる。申請者がこれまで用いてきた温度(電圧)計測装置は、25 msに1点(40 S/s)しか測定ができない。このため、オシロスコープを用いて、電圧計測するシステムを構築した。試料は石英ガラスとして、板状の石英試料2枚でストリップヒーターを挟み込んで、電流を供給し、その抵抗変化を4端子法により測定した。測定データの解析は、CarslowとJaeger1)が報告しているホットストリップ法の原理式に基づいて行った。 データの測定間隔を順に上げ、5 kS/sの間隔で測定した結果を時に、熱拡散率として1.2 ×10-6 m2/s、熱伝導率として1.0 W/mKと、文献値に近い値が得られた。文献値との差は、ヒーターの幅の見積もりの不確かさに由来するものと考えられる。また、同じ測定装置を用いて、従来のホットストリップ法による計測(長時間側での測定データの解析)を行えることも確認した。 1) H.S. Carslow, J.C. Jaeger: Conduction of Heat in Solids, Oxford Univ. Press (1986)
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ホットストリップ法の原理に基づいて高速熱伝導率測定装置の開発を行った。 申請書では、高速電圧計を用いることにしていたが、実際にはオシロスコープを導入した。これは、後者の方がノイズが少ない計測が可能であったためである。現状では、5kS/sの計測が可能になり、石英ガラスの熱伝導率と熱拡散率を同時に計測することが可能となった。装置開発は順調にいっているが、「酸化スケール/鋼系」について計測を行うためには、測定間隔をもう1桁向上させる必要がある。
|
Strategy for Future Research Activity |
ホットストリップ法の原理に基づく熱伝導率および熱拡散率測定装置は、現状では、5kS/sの計測が可能になり、石英ガラスの熱伝導率と熱拡散率を同時に計測することが可能となった。装置開発は順調にいっているが、「酸化スケール/鋼系」について計測を行うためには、測定間隔をもう1桁向上させる必要がある。オシロスコープの計測能力は1 GS/sであるため、充分に対応可能な仕様である。このオシロスコープを利用して、熱伝導率等を計測するための次の課題は測定装置の自動化である。リレー回路を導入することで解決できると考えられ、既に取り組み始めている。測定の精度については、石英ガラスを用いて確認する。その後、酸化スケールがついた鋼の熱伝導率計測へと進んでいく。
|